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台風13号が北上中 雲の形で進路が推定できる

饒村曜気象予報士
本州接近中の台風13号(8月6日17時30分、ウェザーマップ提供)

各地で違う警戒事項

 東海地方から西日本では、高気圧に被われ強い日差しで猛暑日が続いています。

 高校野球が行われている兵庫県西宮市の甲子園球場でも、平成6年(1994年)に38.8度の中で試合が行われるほどの高温にはなっていませんが、連日35度前後の厳しい暑さの中で試合が行われています。十分な熱中症対策が必要です。

 一方、東北地方に大雨をもたらした停滞前線が関東地方までゆっくり南下したため、関東地方は久しぶりの雨となりました。厳しい暑さが一休みとなりましたが、台風13号の周囲を回る温かくて湿った空気が流入して来ますので、前線が活発になって大雨の可能性があります。

 その台風13号ですが、強い勢力で八丈島付近を通過した後、勢力をあまり落とさずに北上しています。そして、8月8日(水)から9日(木)にかけて東日本太平洋側と東北地方太平洋側にかなり接近する見込みです(図1)。

図1 台風13号の進路予報
図1 台風13号の進路予報

台風13号の進路予報につきましては、最新のものをお使いください。

台風の形

 発達した台風の雲は、台風の眼をとりまく円形をしています。

 地表付近では台風の中心に向かって暖かくて湿った空気が流入し、積乱雲の列を作っていますが、台風の中心付近で上昇した空気は、上空で外に噴出しています。

 気象衛星でみると、台風の上空で外に噴出する雲(上層雲)がまず見え、その上層雲のすきまから下に流入している積乱雲が見えます。

 台風上空にある上層雲は、上層の風に流されますので、風の吹いてゆく方向に広がります。このため、気象衛星からみて台風の雲が丸い場合は、台風を動かす上空の風が弱いときです、どちらかに伸びているときは、その方向に上層の風が吹いているときです。

 つまり、気象衛星から見た台風の形で、台風の進路を推定することができます。

 タイトル画像は、8月6日(月)夕方の台風13号の雲ですが、中心から北西に少し伸びた形をしています。つまり、台風13号は北西進することを示唆しています。

 その台風13号ですが、7日昼頃の気象衛星からみた台風13号は、前日に比べればやや円形になりましたが、北西方向に伸びています。しばらくは北西に進むものの、台風を動かす上空の風は強くないことを示唆しています(図2、図3)。

図2 気象衛星から見た台風13号(8月7日11時40分)
図2 気象衛星から見た台風13号(8月7日11時40分)
図3 地上天気図と衛星画像(8月7日9時)
図3 地上天気図と衛星画像(8月7日9時)

 このことは、東日本から北日本では、台風13号の影響が長く続くことを意味しています。台風13号については、最新の気象情報の入手に努め、警戒する必要があります。

 八丈島では8日(水)午前中から暴風域に入る確率が高まりますが、東京23区でも8日深夜には暴風域に入る確率が高まりますので、明日の日中に台風対策を終える必要があります(図4)。

図4 東京23区西部と八丈島で暴風域に入る確率
図4 東京23区西部と八丈島で暴風域に入る確率

台風13号の暴風域に入る確率につきましては、最新のものをお使いください。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供

図1、図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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