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梅雨の晴れ間は真夏より紫外線に警戒

饒村曜気象予報士
青空と太陽(ペイレスイメージズ/アフロ)

梅雨らしい天気図に

 中国地方から関東地方にかけての広い範囲で梅雨入りした6月6日頃は、オホーツク海高気圧がなく、日本付近に湿った冷たい空気が流入していませんでした。前線の活動は、南からの暖湿気流によっての活発化でした(図1)。

図1 地上天気図(6月6日9時)
図1 地上天気図(6月6日9時)

 しかし、週末にかけてオホーツク海高気圧が発達し、北日本から東日本に湿った冷たい空気が流入していますので、ようやく梅雨らしい天気図となりました(図2)。

図2 地上天気図(6月14日21時)
図2 地上天気図(6月14日21時)

 北海道を除く全国で梅雨入りしていますが、梅雨前線は本州の南海上に下がって沖縄付近で停滞していますので、沖縄地方を除くと、曇りまたは晴れのところが多くなっています。

 梅雨期に晴れ間がでる時は、紫外線に注意が必要です。

梅雨期の紫外線

 紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したものが「UVインデックス」で、国際的に広く使われています。国内では環境省から「紫外線環境保健マニュアル」が刊行され、この中でもUVインデックスに応じた紫外線対策の具体的な例が示されています(表)。

表 UVインデックスに応じた紫外線対策
表 UVインデックスに応じた紫外線対策

 このUVインデックスを月別に平均すると、東京では6月は、7月と8月より小さな値となっています。これは、梅雨期の6月は、雨や曇りでUVインデックスが小さな日が多く、月平均を下げているからです(図3)。

図3 東京の日最大UVインデックスの月別平年値
図3 東京の日最大UVインデックスの月別平年値

 紫外線の強さは太陽高度に比例していますので、夏至を含む6月は、真夏より紫外線が強くなっています。しかし、梅雨期は、梅雨寒(つゆざむ)という言葉があるように、真夏に比べると気温は高くないため、屋外にいる時間が長くなりがちです。

 このため、梅雨の晴れ間には、思いがけないほど多量の紫外線を浴びることがあります。

 梅雨の晴れ間は、紫外線予測に注意し、日傘をさして肌の露出を避けたり、UVカットクリームを使用するなどの対策が必要です(図4)。

図4 九州地方北部の紫外線予測分布図(6月15日12時の予測)
図4 九州地方北部の紫外線予測分布図(6月15日12時の予測)

これから梅雨明けの沖縄は紫外線対策

 梅雨前線が停滞して曇雨天の沖縄地方ですが、平年であれば6月中旬に梅雨が明けます。 

 太陽高度が高い時に、紫外線を遮ってくれる雲がない日が続きますので、紫外線対策が必要です。特に旅行者は、まだ6月という意識があり、油断してUVケアを怠りがちです。

図1、図2、図3、図4、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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