エイプリルフール 嘘の意味の「絹雲」から正しい意味の「巻雲」に
4月1日はエイプリルフール(万愚節)、罪のない嘘をついて良いとされる日です。
昭和63年のエイプリルフールの日から、嘘をついて使っていた「絹雲」が、正しい意味の「卷雲」に訂正されています。
雲の種類
雲は高さ等によって10種類に分類されています。
高いところにある卷雲、卷積雲、卷層雲、中くらいの高さにある高層雲、高積雲、乱層雲、低いところにある層積雲、層雲、垂直に延びている積雲、積乱雲の10種類です(図1)。
このうち、卷雲は名前の変更を余儀なくされたことがあります。
当用漢字音訓表
太平洋戦争が終わり、世の中が高度成長時代へ向かっている頃、漢字は複雑で覚えるのは大変なので、使用する漢字の種類や読み方を制限しようという動きがでてきました。
こうして出来たのが、当用漢字音訓表で、昭和40年(1965年)1月1日より使用されています。
このとき問題となったのが卷雲です(図2)。
英語のCirrusで表記される雲を「巻雲(けんうん)」と称してきたのですが、「巻」という漢字が「まき、かん」とよみ、「けん」と読んではいけないことになったからです。
「巻雲」を 「まきくも」と読む選択枝もありましたが、検討の結果、「けん」と読める「絹」という字をあてることになりました。
こうして、嘘の意味の「絹」が使われるようになりました。
正しい意味
英語のCirrusという雲は、刷毛で掃いたように端が巻いている雲なので、巻雲なのです。
Cirrusという英語自体も、髪の毛のカール(Curl)と同じ語源です。
豊かな日本語の使用を阻害していた当用漢字音訓表は、昭和56年(1981年)に廃止となり、学術用語などで使うのが正当というものについては使用が認められています。
これをうけて検討が進められた、学術用語集の改訂を受け、気象庁では昭和63年(1988年)4月1日のエイプリルフールの日から、嘘ではない、正しい意味の「巻雲」を復活させています。
今でも時折、「絹雲」が誤って使われることがありますが、高いところで巻いているので「巻雲」です。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。