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早まっている東京の桜の満開 花見は新入社員の歓迎会から退職者の送別会へ

饒村曜気象予報士
桜満開(ペイレスイメージズ/アフロ)

 地球温暖化により桜の満開が全国的に早まっています。特に東京は都市化の影響もあり、開花は全国のトップ争いをするようになり、3月中に満開の年が多くなっています。

東京の桜の満開

 今年、平成30年(2018年)の東京(靖国神社)の桜の満開は、3月24日と気象庁が統計をとりはじめた昭和28年(1953年)以降では、平成14年(2002年)の3月21日、平成25年(2013年)に次ぐ3番目の早さでの満開でした(表)。

表1 東京の桜の満開日(昭和28年(1953年)以降)
表1 東京の桜の満開日(昭和28年(1953年)以降)

 東京の桜が開花した3月17日以降、春分の日(3月21日)に寒気が南下して気温が低くなったほかは、気温が高い日が多く、開花から7日間で満開となりました。

図1 東京の気温変化(3月27日以降は予想)
図1 東京の気温変化(3月27日以降は予想)

 東京の桜の満開日の早いランキングの上位は、平成、それも二桁の平成が占めています。

 昭和の時代は、ほとんどが4月に入ってから満開になっていましたが、昭和の終わりごろから10年に2回は3月に満開となるようになり、平成の二桁になると、10年で6回、あるいは、8年で5回は3月に満開となっています。

表2 東京の桜の満開の年代別最早日と年代別回数
表2 東京の桜の満開の年代別最早日と年代別回数

 つまり、3月に満開となる年のほうが多くなっています。

 気象庁の平年値は30年間の平均をとっていますので、近年は、平年値よりも早く満開となっています。

桜のイベントは前倒し

 都内各地では、桜祭りを3月下旬から4月上旬に開催するところが多いのですが、桜の満開の時期が早くなると、主催者側は対応に苦慮することになります。

 東京周辺では、企業や大学等の花見は、新年度に入り、新入社員・新入生の歓迎会の意味合いがありました。3月30日から31日に満開ならば何とか開催できますが、3月の早い満開では桜が散ってしまいます。

 このままでは、新入社員・新入生の歓迎会から、退職者・卒業生の送別会に変わりそうです。

月替わりの週末の花見は

 今週の関東地方は、高気圧に覆われて晴れる日が多く、最高気温・最低気温ともに平年より高く、夏日(最高気温が25度以上)になる日もありそうです。

図2 東京地方の週間天気予報(気象庁ホームページより)
図2 東京地方の週間天気予報(気象庁ホームページより)

 このため、桜の開花が進んで散り始めることが考えられますが、桜を大きく散らせてしまう雨(花散らしの雨)はなく、なんとか、3月31日の週末までは花見ができそうです。

 しかし、新入社員や新入生を迎えて最初の週末、4月7日(土)8日(日)までには桜のシーズンは終わりそうです。

 3月31日は旧暦の2月15日、涅槃会(釈迦の遺徳追慕と報恩のための法要)ですので、夜桜と満月が同時に楽しめそうです。

図1、表1、表2の出典:気象庁ホームページのデータをもとに著者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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