今週末は夜桜に如月の満月

桜イメージ(写真:アフロ)

今週の週間天気予報

 3月24日から25日の土日は、24日に東京(靖国神社)の桜が満開になるなど、東日本から西日本の沿岸部で桜が見頃を迎え、晴れて気温が上昇したため、花見客が集まっています。3月25日に東京都杉並区の善福寺川の桜を見てきましたが、満開といっても、最盛期は3月26~27日という印象でした(写真)。

写真 東京都杉並区の善福寺川の桜(3月25日に著者撮影)
写真 東京都杉並区の善福寺川の桜(3月25日に著者撮影)

 関東地方の今週は、高気圧に覆われて晴れる日が多く、最高気温・最低気温ともに平年より高く、平年よりかなり高い日も多い見込みということから、桜が散り始めますが、桜を大きく散らせてしまう雨(花散らしの雨)はなく、なんとか、3月31日の週末までは花見ができそうです。

 3月31日は陰暦の2月15日、如月(きさらぎ)の満月(もちづき)の日です。

 今週末は夜桜に満月が楽しめそうです。

図 東京地方の週間天気予報(気象庁ホームページより)
図 東京地方の週間天気予報(気象庁ホームページより)

涅槃会と西行

 如月の満月は、お釈迦様が入滅した日です。涅槃会(釈迦の遺徳追慕と報恩のための法要)が行われる日です。

 ただ、現在の涅槃会は、旧暦の2月15日を新暦の3月15日に置き換えて行われることが多くなっています。

 平安時代末期の歌人・西行は、お釈迦様が入滅した2月の満月の日に、桜の花の下で死にたいと歌っています。

 ねかはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ

 平安時代末期、鳥羽上皇に北面の武士として奉仕していた佐藤義清は、和歌と故実に通じた人物として知られていましたが、23歳で出家して西行と名乗り、しばしば諸国を巡る旅にでています。

 熱心に仏教に取り組んでいた西行は、死ぬなら涅槃会の頃にと考えたのでしょう。そして、死ぬなら咲いている桜の花を見ながらと思ったのでしょうが、実際に73歳で亡くなったのは涅槃会の翌日、文治6年2月16日です。西暦(グレゴリオ暦)になおすと、1190年3月30日ですので、亡くなった河内国(大阪府)の弘川寺周辺では桜が咲いていたのではないかと思います。

 時代は、源頼朝が鎌倉幕府を開き、貴族の時代から武士の時代に変わった頃で、願い通りとなった西行の生涯は、当時名声を博しています。

 なお、西行終えんの地として有名で弘川寺は、西行の供養のために植えられた山桜が3月下旬から4月下旬にかけて新葉とともに見事な花をさかせ、花見の名所となっています。

昔の気候を推定する花見の記録

 気象庁で桜の開花や満開の観測などの生物季節観測を行っているのは、生物に及ぼす気候の影響を知るためです。機器を用いた気象観測と生物季節観測との比較があると、古文書にある簡単な記述だけでも、たくさん集めれば、当時の気象が推定できる資料に変わります。

 日本人は昔から桜についての関心が高く、西行のような心境に達する人もすくなくありません。それだけに、桜に関しては、「○月○日に花見をした」などの記述を含めて、沢山の記述が残されています。

 花見が行われた日は、ほとんどが満開の頃と考えられますので、平安時代は花見が早かったので気温が高く、鎌倉時代は花見が遅くなっているので気温が低かったなどという分析を行うことができます。

 昔の桜と今の桜では木の種類が違うなど、考慮すべき点があるのですが、これは、昔の気候を推定できる貴重な資料の集まりにはかわりません。