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終雪平年日の1ヶ月後でも雪が降りえる

饒村曜気象予報士
傘に降る雪(ペイレスイメージズ/アフロ)

今週は東京でも夏日の可能性

 北から寒気が南下して寒かった2月に比べ、3月に入ると、気温が平年より高い日が多くなっています。

 今週前半は、大きな移動性高気圧に覆われて晴れる日が続きます(図1)。

図1 予想天気図(3月14日9時の予想)
図1 予想天気図(3月14日9時の予想)

 週間天気予報の最高気温の予報の上限をみると、週半ばの3月15日(木)には25度と夏日(最高気温が25度以上の日)になる可能性があります(図2)。

図2 東京都心部の3月の気温(3月13日以降は週間天気予報による)
図2 東京都心部の3月の気温(3月13日以降は週間天気予報による)

 ただ、週間天気予報で最低気温の下限をみると3月17日(土)には3度となります。暖かくなるといっても、朝晩は冷え込みますので、体調管理に注意が必要な一週間です。

雪の果て

 冬のシーズンで最後に降る雪を終雪といいます。俳句の世界では、最後に降る雪を「雪の果て」、「雪の別れ」、「忘れ雪」などというそうです。

 東京での終雪の平年値が3月11日であるように、東日本の太平洋側から西日本の地方では、3月中旬になると、終雪の平年日を過ぎます(表)。

表 終雪の平年日と最も遅かった雪
表 終雪の平年日と最も遅かった雪

 終雪の平年日を過ぎ、晴れて気温が上がった日が続くと、雪はもう降らない、冬は終わったという感じになりますが、記録的に遅い雪は、終雪平年日のほぼ1ヶ月を過ぎても降っています。

 しかも、平成になってから記録を更新している地点も少なくありません。

 地球温暖化により、終雪の日が早まる傾向にあるといっても、記録的に遅い雪も観測されるようになります。つまり、ばらつきが大きくなっています。

 つまり、暖かくなってきたといっても、頭の片隅には「終雪平年日から1ヶ月後でも雪が降ることがある」ということを入れておく必要があります。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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