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北海道は雪水比が大きい乾いた雪だった

饒村曜気象予報士
北海道 サッポロテイネ(写真:アフロ)

 ある期間の降雪量(単位はセンチメートル)を、降水量(雪を融かして測った水の量で単位はミリメートル)で割った値を雪水比といい、値が小さいほど湿った雪となります。

乾いた雪と湿った雪

 雪水比が大きい雪は、小さい雪に比べて、同じ水分量でも雪の量が多いことから、ふわっとした雪です。さわってもベトベトせず、サラサラしています。ギュッとにぎっても雪玉になりにくい雪です。コートに雪がついても、払うと簡単にとれますので、雪の日に傘は必要ではありません。

 これに対し、雪水比が小さな雪は、ベタベタした雪で、電線や樹木に着雪しやすく、雪の日には傘は必需品です。

 一般的に、北海道の雪は、雪水比が大きいサラサラした雪で、北陸地方の雪は、雪水比が小さいベトベトした雪です(表1)。この差は、気温によります。気温が高いと雪水比が小さく、気温が低いと雪水比が大きくなります。

表1 月別平年値から見た雪水比
表1 月別平年値から見た雪水比

昨年12月の大雪

 近年、北海道の雪の雪水比が小さくなる傾向があります。

 札幌では、昨年12月10日に降雪量44センチメートルを観測し、12月としては15年ぶりのドカ雪となっています。このため、JRの運休や新千歳空港の欠航便が相次いでいます。

 この10日も含めて、12月の降雪量の合計は198センチメートル、12月の降水量は206.5ミリメートルですので、雪水比は0.96となります。

 冬の初めや、冬の終りでは、雪水比が小さいことがありますが、冬の最中では珍しいことです…。

表2 札幌の月別雪水比(平成28年11月~平成29年3月)
表2 札幌の月別雪水比(平成28年11月~平成29年3月)

これからの北海道は湿った大雪

 地球温暖化が進み、北海道でも気温が高くなり、雪水比が小さな雪が降る機会が増えています。

 気温が高くなると、大気中に含むことができる水蒸気の量が増えますので、大雪の可能性が高くなります。

 しかも、その雪は、電線や樹木に付着し、重みで電線を切ったり樹木を倒壊させる危険な雪です。

 若い頃、北海道の函館で勤務をしたことがあり、そのときに「本州からきたばかりの人はすぐわかる」と言われたことがあります。雪の日に傘をさすからですが、北海道の雪は、本州の雪と違って、傘が不要な乾いた雪がほとんどだからです。

しかし、これからの北海道は、過去の雪とは違った雪が降ることに注意が必要です。

表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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