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大雪の目安・5000メートル上空で氷点下36度の寒気が北日本に南下

饒村曜気象予報士
北海道 雪道(写真:アフロ)

大気の真ん中の高さ

 大気の動きや温度が、上空約5000メートルの値が基準となることが多いのは、この高さの気圧が、約500ヘクトパスカルになるからです。

 地上付近の気圧は、発達した台風を除けば、1000ヘクトパスカル前後ですので、上空約5000メートルより上に500ヘクトパスカル分の空気が、5000メートルより下にも500(=1000ー500)ヘクトパスカル分の空気があることになります。

 つまり、大気の真ん中の高さが約5000メートルということが出来ます。

雪の目安と大雪の目安

 対流圏の気温は、逆転層などのごく一部を除けば、高度とともに低くなっています。気温が低くなる割合(気温減率)は、1000メートルで約6度です。

 つまり、上空約5000メートルで氷点下30度は、地上付近で0度ということになりますので、上空約5000メートルで氷点下30度以下なら、地上で0度以下と、降水現象があるなら雪の可能性が高くなります。雪になるか、雨になるかは、1500メートル以下の下層の気温で大きく変わりますので、あくまで大雑把な目安ですが、上空約5000メートルで氷点下30度が平地で雪が降る目安です。

 そして、上空約5000メートルで氷点下36度なら、日本海から大量の水蒸気などの補給を受け、日本海側の地方では大雪になります。

氷点下36度の寒気が南下

 日本付近を二つ玉低気圧が通過し、全国的に雨で、北日本では強い風が吹いています(図1)。

図1 予想天気図(平成29年11月18日21時の予想)
図1 予想天気図(平成29年11月18日21時の予想)

 日本海を東進する低気圧は、北からの強い寒気の南下によって発達し、北日本を中心に西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)となっています。

 ただ、日本海を通過する低気圧のほうが少し速く進み、南岸を進む低気圧と合体しない見込みです。このため、日本付近で、北からの寒気と南からの暖気が合体し、低気圧がより一層発達するということはなく、今冬一番の強い寒気の南下は一時的です。

 11月19日21時の上空約5000メートルの気温予想では、氷点下30度の寒気が能登半島付近まで、氷点下36度の寒気が青森県まで南下します(図2)。そして、北海道は氷点下39度の予想です。

図2 約5000メートル上空の気温予想(11月19日21時)
図2 約5000メートル上空の気温予想(11月19日21時)

 週間天気予報では、19日(日)の予報では、新潟県が「雪か雨」と雪が主体、石川県が「雨か雪」と雨が主体となっていますが、新潟・石川両県とも20日(月)以降は雨が主体となっています(図3)。

 今回の寒気は、「冬将軍」の顔見世です。

図3 新潟県・石川県・東京地方の週間天気予報
図3 新潟県・石川県・東京地方の週間天気予報

 太平洋側の東京の20日(月)でも、最低気温は5度(誤差幅を考えると3から6度)と冷え込みます。

 本格的な冬の到来です。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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