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沖縄・奄美で「梅雨入り」 来週は九州南部から関東甲信は「梅雨入り」か「走り梅雨」で梅雨模様

饒村曜気象予報士
沖縄付近を通る梅雨前線の雲(5月22日9時)

沖縄・奄美で梅雨入り

 令和6年(2024年)5月21日に、沖縄地方では平年より11日、奄美地方では平年より9日遅く梅雨入りしました(表)。

表 令和6年(2024年)の梅雨入り
表 令和6年(2024年)の梅雨入り

 近年は、沖縄地方や奄美地方の梅雨入りが遅れる傾向にあります。

 昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、沖縄地方の梅雨入りが一番多かったのは5月上旬の前半(1日から5日)ですが、令和13年(2001年)以降に限ると、5月中旬の後半(16日から20日)が一番多くなっています(図1)。

図1 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図1 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 奄美地方も、73年間で梅雨入りが一番多かったのは5月上旬の後半(6日から10日)ですが、令和13年(2001年)以降は5月中旬の後半(16日から20日)が一番多くなっています。

 つまり、沖縄地方、奄美地方ともに近年は梅雨入りが遅れていますが、沖縄地方の梅雨入りの遅れ方の方が大きく、沖縄地方と奄美地方ではほぼ同時期に入る傾向となっています。

 そして、今年、令和6年(2024年)も、沖縄地方と奄美地方が同時に、平年より遅い梅雨入りとなりました。

今週の梅雨前線

 5月22日は、梅雨前線が沖縄本島から奄美大島付近に停滞したため、24時間降水量は沖縄県南城市・糸数で189.5ミリ、那覇で169ミリなどの大雨となり、沖縄本島には土砂災害警戒情報が発表されました(タイトル画像)。また、梅雨前線に近い西日本では雲が広がりやすく、九州南部は雨が降りました。

 5月23日も梅雨前線は、南西諸島付近に停滞するため、沖縄・奄美地方は雨で、雷を伴って非常に激しく降る所もある予報ですので、土砂災害などに注意・警戒してください(図2)。

図2 予想天気図(5月23日9時の予想)
図2 予想天気図(5月23日9時の予想)

 また、西日本では雲が広がりやすく、太平洋側を中心に雨が降る見込みです。

 各地の10日間予報をみると、梅雨入りした沖縄県・那覇と鹿児島県奄美地方・名瀬は雨の日が続く予報で、最高気温も25度以上の夏日が続く予報となっています(図3)。

図3 各地の10日間予報(5月23日から29日は気象庁、30日以降はウェザーマップの予想で、数値はともに最高気温)
図3 各地の10日間予報(5月23日から29日は気象庁、30日以降はウェザーマップの予想で、数値はともに最高気温)

 九州南部の鹿児島は、5月24日~25日は曇りや晴れの予報ですが、25日以降は、雨で夏日の日が続く予報となっています。

 これは、梅雨前線が沖縄本島近海から西日本の南岸まで、少し北上して停滞するためですが、九州南部は、5月26日に梅雨入りするかもしれません。

 ちなみに、九州南部の梅雨入りの平年は5月30日です(図4)。

図4 九州南部地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図4 九州南部地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 九州南部の梅雨入りの平年は5月30日のため、26日に梅雨入りしたとしても4日早いだけです。また、5月中旬に梅雨入りした年も複数あることから、かなり早い梅雨入りではありません。

 四国から関東甲信でも、九州南部ほどではありませんが、5月27日以降は雨の日が多くなるという予報となっています。

 5月27日に「梅雨入り」とするのか、「走り梅雨」として梅雨入りを見送るのかは微妙なところです。

 ただ、来週は各地で梅雨らしい天気となることにはかわりがありません。

 仮に、5月27日に関東甲信が梅雨入りしたとなると、昭和38年(1963年)の5月6日に次ぐ、2番目に早い梅雨入りとなります(図5)。

図5 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図5 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 西日本から東日本の太平洋側の地方では、梅雨入り間近ということから、今週末にかけての晴れ間は貴重です。梅雨の季節の大雨対策を家族で話し合い、実行してください。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図4、図5の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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