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台風15号の雲が北に延び、この延びた方向に移動中

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」の可視画像(9月3日6時)

9月に北上する台風の速度

日本の東海上を北上中の台風15の雲が、日本の東海上を北上中で、東日本から北日本の太平洋側では、台風からの大きなうねりが入っており、海辺でのレジャーでは警戒が必要です。

9月に北上する台風の平均速度は時速約25キロ(12.3ノット)と、8月の約20キロ(10.8ノット)より、若干早くなっています(図1、図2)。

図1 9月に北上する台風の速度
図1 9月に北上する台風の速度

これは、台風を動かす上空の風が秋になると強まってくるためですが、秋が進むにつれ、北上速度は次第に早くなります。

図2 8月に北上する台風の速度
図2 8月に北上する台風の速度

台風の雲が北に延びる

台風15号の雲は、小笠原近海でゆっくりと移動していた時は、眼を中心とした円形の雲の塊でした。

現在、日本の東海上を北上中の台風15の雲は、北に大きく延びています。

これは、小笠原近海にいたときは、台風の動きが遅く、現在は、台風が北に動いていることを示しています。

台風は、下層では周囲から中心に向かって空気が強く吹き込んでいますが、中心付近で上昇し、上空で、中心から外に吹き出しています。

このため、上層でできた雲は、中心から周囲に吹き出しています。

台風の雲の伸びは、台風の上空から吹き出す上層雲が、台風を移動させる上空の強い風に流されてできます。

つまり、台風の雲の伸びは、台風進路を示す指標となります。

図の出典:饒村曜(1980)、台風に関する諸統計(第2報)ー進行速度ー、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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