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冬の日本海側の週間天気予報は信頼度が低い

饒村曜気象予報士
冬の日本海(写真:アフロ)

府県ごと(北海道と東京都、鹿児島県、沖縄県は道県の細分ごと)の週間天気予報は、毎日、毎日11時ごろと17時ごろに気象庁から発表となります

向こう一週間の、一日ごとの天気、最高・最低気温(1℃単位)、降水確率(10%単位)などが発表されますが、そこには予報の信頼度がついています(図1)。

図 週間天気予報の例(平成28年1月4日17時発表、気象庁HPより)
図 週間天気予報の例(平成28年1月4日17時発表、気象庁HPより)
表 週間天気予報の信頼度の説明(気象庁HPより)
表 週間天気予報の信頼度の説明(気象庁HPより)

週間天気予報の信頼度

週間天気予報の信頼度は、降水の有無の予報について「予報が適中しやすい」ことと「予報が変わりにくい」ことを表す情報で、予報の確度が高い順にA、B、Cとなります(表)。

気象庁HPの解説によると、

信頼度Aは、適中率が平均で明日予報並みの86%という、確度が高い予報です。降水の有無の予報が翌日に変わる可能性は2%と、ほとんどありません。

これに対し、信頼度Cは適中率が平均で56%という、確度がやや低い予報です。明日になれば予報が変わる可能性が21%と、やや高いことを意味します。

信頼度を加味すると、天気を味方にした計画を立てることができます。

例えば、5日目と6日目の予報が同じ「晴れ時々曇り」でも、5日目の信頼度がAで6日目の信頼度がCなら、晴れて欲しい行事や作業を行うときは、信頼度の高い5日目に予定を組むという使い方ができます。

全天候型天気予報

「全天候型」は、様々な気象条件下での使用に耐える製品などにつけられ、優れているという、良い意味で使われることが多いのですが、天気予報の全天候型は違います。

「晴れ時々曇り、ところによって雨か雪」という全ての天気が入っている天気予報を、全天候型天気予報というのですが、評判は良くありません。

冬の日本海側の地方では、全天候型の天気になってしまうことがよくあります。短い時間で天気がめまぐるしく変わるからですが、それを表現するとなると全天候型の天気予報となってしまい、「全部の天気を言えば当たる」など、予報官に対する批判(皮肉)がでてきます。

地域によって違う信頼度

1月4日夕方の天気予報をみると、山陰地方の松江では、明々後日以降の信頼度は全てCですが、大阪、高松、広島での信頼度は全てAです。

このように、信頼度は季節によって、地域によって大きく異なります。

冬の日本海側は、太平洋側に比べて信頼度が低いのが常です。というのは、太平洋側に比べて天気がめまぐるしく変化し、予報が難しいからです。

気象庁が発表した昨年1月の地方別の週間天気予報の精度検証では、太平洋側の関東甲信地方が79%、東海地方で84%に対し、日本海側の北陸地方で71%となっていますが、北陸地方を担当する予報官が未熟なわけではりません。それだけ、天気予報が難しいのです。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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