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爆弾低気圧で大荒れ 日本周辺の海を細かく分けて各種の警報を発表中

饒村曜気象予報士
日本周辺の海上に発表中の海上警報(10月1日17時45分現在)

爆弾低気圧(急速に発達する低気圧)が日本海にあって、さらに発達する見込みです。このため、今後さらに風が強まって大きな被害がでるおそれがあり、九州北部、北陸、東北、北海道の気象台等では、道府県内の市町村および沿岸海域(海岸線から約37kmの水域)に対して暴風警報を発表し、警戒を呼びかけています。同時に、日本周辺の海を細かく分け、そこに海上警報を発表して海難事故が発生しないよう警戒を呼びかけています。

暴風警報や波浪予報などの対象は市町村とその沿岸海域

暴風警報などの注警報の対象は、市町村という陸上だけでなく、沿岸の海域も含まれています。

ここで、沿岸の海域とは、海岸線から約37km、カイリで言うと20カイリ以内の水域のことです。

一般の天気予報の中で発表される波浪予報も、対象は海岸線から約37km以内の水域です。

海にも警報を発表

どんな暴風も大雨も、陸上ではそれが通り過ぎるのをじっと待っていればよいのですが、海の上ではそうはゆきません。

沈没しないように暴風や高波の中で船を操って、より安全な場所に移動したりする必要があります。

古来から現在に至るまで、船舶がもっとも恐れているのは、暴風や高波などの海上の気象です。

このため、気象庁では、管区気象台等が分担して、沿岸海域以外の日本周辺の海を細かく分割し(図)、「地方海上警報」や「地方海上予報」が発表しています。

図 日本近海の地方海上予報区
図 日本近海の地方海上予報区

地方海上警報の発表基準は低気圧と台風では異なる

このうち、風についての地方海上警報の発表基準は、表のようになっており、低気圧と台風では違っています。

表 風についての地方海上警報の発表基準
表 風についての地方海上警報の発表基準

札幌管区気象台は10月1日17時30分に担当海域に対して海上警報を発表していますが、サハリン西方海上に対しては、「南の風が強く 最大風速は35ノット(18メートル) 今後18時間以内に 南西の風が強く最大風速は 65ノット(35メートル)」という、海上暴風警報を発表しています。

この爆弾低気圧により18時間以内に35mの強い風が吹くとしての海上暴風警報の発表ですが、もし、台風によって強い風が吹いたのであれば、海上暴風警報ではなく、海上台風警報の発表となります。

低気圧では32.7m/s以上の暴風が吹くことはほとんどないので、台風のように細分されていないのです。

今回の爆弾低気圧では、海上で珍しいほどの強い暴風が吹く、危険な低気圧ということができます。

図の出典:饒村曜(2012)、お天気ニュースの読み方・使い方、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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