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元阪神・呉昇桓 37歳で古巣に復帰 「メジャーの時より状態がいい」

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
沖縄キャンプで練習中するサムスンのオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)

「早く日本でプレーしたいです」

当時20代後半だった彼は、暖かな日差しを浴びながらそう語った。その言葉の主はオ・スンファン。場所はサムスンライオンズが春季キャンプを行う、沖縄・恩納村のONNA赤間ボール・パークだった。

あれから長い月日が流れ、37歳になった彼は7年ぶりに、再び同じ場所に青いチームウェア姿で戻って来た。

オ・スンファンは2014年に念願かなって、FA権を行使して阪神に移籍。クローザーとして2年続けてリーグトップのセーブ数を記録すると、16年からは活動の場をメジャーリーグに移した。

アメリカではカージナルス、ブルージェイズ、ロッキーズで計3年半プレーしたオ・スンファンは昨年8月、韓国に帰国。古巣サムスンに復帰した。

阪神入り1年目、沖縄・宜野座キャンプでのオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)
阪神入り1年目、沖縄・宜野座キャンプでのオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)

オ・スンファンと言えば、マウンド上でのポーカーフェイスが特徴のひとつだ。だが普段の彼は笑顔も見せる。ただその笑顔が硬いというか、ぎこちないのがオ・スンファンらしさだった。

しかし、メジャーを経て戻って来たオ・スンファンのスマイルは以前とは違ってとても自然だった。海外生活のせいか、それとも歳を重ねたからなのか、いずれにしてもそれが久々のオ・スンファンから最初に感じた変化だった。

ナチュラルな笑顔を見せるオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)
ナチュラルな笑顔を見せるオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)

一方で変わっていないこともあった。それは遠投の軌道だ。一般的にキャッチボールは距離が長くなればなるほど、ボールは山なりになるものだがオ・スンファンは違う。助走や角度をつけることなく、投本間で投じる時とほぼ変わらないフォームから放たれたボールは、一直線にズドーンと相手のグラブに収まっていった。

オ・スンファンは昨年8月に右ひじの骨片除去手術を行っているが、その姿を見る限り、調整の順調さをうかがわせる。

「今すぐにでもブルペンには入れるんですけど、わざと投げないようにしています。ここまでゆっくりペースを上げてきたんですが、今は一旦抑えている時期です。コンディションが良いと言ってもオーバーペースではないです」

1982年生まれのオ・スンファン。先週7日には同い年の抑え投手、ソン・スンラク(ロッテ)が現役引退を表明した。彼は歳を感じることはないのか。

「年を重ねて力が落ちたと感じたことはないです。年齢は関係ないと思っています。むしろアメリカにいた時よりも今は状態がいいです」

オ・スンファンは韓国を離れていた6シーズンを経て感じるのは、重ねた経験の大きさだという。

「色んなタイプの打者を見ることができた。そして以前は投げることがなかった変化球を試せたことがプラスでした」

沖縄で個人メニューを丁寧に消化しているオ・スンファン。余裕とともに充実感がみなぎっている。

チューブトレーニングを自発的に行うオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)
チューブトレーニングを自発的に行うオ・スンファン(写真:ストライク・ゾーン)

オ・スンファンの韓国復帰登板は早ければ、2015年末に海外での違法賭博により科された、72試合の出場停止処分(昨季のKBO復帰時から)が解ける5月だ。

オ・スンファンが韓国で2013年9月24日以来のセーブを挙げると通算278セーブ目。阪神での80セーブ、メジャー3チームでの42セーブを合わせると、復帰後初セーブが日米韓通算400セーブとなる。

※本記事は筆者がスポーツ朝鮮に韓国語で寄稿した記事を再編集し、日本語で記したものです。

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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