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楽天でコーチ研修中の韓国の元スター選手<2> 「内田は活躍する能力がある」

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
外野手の中村和希をハグで迎えるイ・ジンヨン研修コーチ(写真:ストライク・ゾーン)

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に3大会続けて出場するなど、韓国を代表する外野手として活躍し、昨季限りで現役を引退したイ・ジンヨン(元KTウィズ、39)。

彼は今、宮城県仙台市にある楽天イーグルスのファームでコーチ研修を行っている。

国際大会での数々の好守から「国民的右翼手」と呼ばれ、20年間で歴代6位の通算2125安打を記録したバットマンが語る研修生活の第2回(全3回)。

前回第1回 ⇒「岸と則本の姿勢に驚いた

イ・ジンヨン研修コーチ(以下、イ研修コーチ)は約2ヶ月が経過した研修生活をこう感じている。

「このチームはベテランが故障したら回復までの時間を十分に待ち、その間に若手にはチャンスを与えている。1、2軍の入れ替えがとても活発だ」

その中で目を引く野手として3人の名前を挙げた。

「1軍に定着している選手のことはわからないが、ファームでは卓丸、燿飛、内田(靖人)は将来の楽天イーグルスを引っ張っていく存在にならなきゃいけない選手だと思う。3人ともまだ若いけど、持っている実力は問題ない」

特に内田に関しては、「主力からファースト、サードのポジションを取るには機会が限られていて、簡単なことではないと思うが、いつか1軍で活躍する能力は十分ある」と話す。

内田は昨季1軍で58試合に出場し12本塁打を記録したプロ6年目の右打者。福島県出身の24歳だ。

イ研修コーチは練習に励む選手たちを見て、「取り組む姿勢は文句の付けようがない。韓国と比べると練習量が多いが、選手たちはそれを不平不満なくやっている」と感じた。

「最近の韓国はその日よりも、翌日のコンディションを重要視するようになって、以前よりも練習量が減っている。少しずつアメリカのスタイルに近づいているようだ」

イ研修コーチは現役時代にサンバンウル、SKで「世界一練習時間が長い」ことで知られる、キム・ソングン監督(現ソフトバンクコーチングアドバイザー)の下でプレーした。そのため、今の韓国の変化をより敏感に感じている。

「練習量が必要に応じて多くなるのは悪くないと思っている。疲れを溜めないことも重要だが、実力を向上させるのに反復練習は欠かすことが出来ない。韓国に戻ったらそのことを伝えたい。日本と韓国では環境と習慣の違いがあるので、どちらが良いという正解はないが、良いところは吸収して、悪いところは変えていけばいいと思う」(つづく)

第3回 ⇒「10年前に日本でプレーする可能性あった

<イ・ジンヨン(李晋暎) 群山商高から1999年にサンバンウルレイダース(のちに消滅)に入団。SKワイバーンズ、LGツインズ、KTウィズでプレーし、昨年、20年間の現役生活を終えた。通算成績は2160試合、打率3割5厘、169本塁打、979打点。身長185センチ、体重90キロ。1980年6月15日生まれの39歳>

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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