楽天でコーチ研修中の韓国の元スター選手<1> 「岸と則本の姿勢に驚いた」

外野手にノックを打つイ・ジンヨン研修コーチ(写真:ストライク・ゾーン)

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に3大会続けて出場するなど、韓国を代表する外野手として活躍。昨季限りで現役を引退したイ・ジンヨン(元KTウィズ、39)は今、宮城県仙台市にある楽天イーグルスのファームでコーチ研修を行っている。

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国際大会での数々の好守から「国民的右翼手」と呼ばれ、20年間で歴代6位の通算2125安打を記録したバットマンに、楽天イーグルスでの研修生活について聞いた(第1回/全3回)。

イ・ジンヨン研修コーチ(以下、イ研修コーチ)は2人のエースの姿から、韓国との違いを感じた。

「岸(孝之)が左太もも裏に違和感があった時、1か月くらいファームにいた。韓国だったらエースがファームに来たら特別扱いを受けるのが普通だ。しかし岸は個人のメニューをこなすだけではなく、ちゃんとチームのスケジュールを第一に動いていたのが意外だった」

エースであっても自分のことだけを考えて休むのではなく、チームの一員として行動する岸にイ研修コーチは驚いた。

「岸は後輩に対しても惜しみなくアドバイスをしていた。成長が期待されている藤平(尚真)といつも一緒に体を動かし、キャッチボールをする姿に岸のベテランとしての責任感が見られた。“自分が良ければいい”のではなく、若い選手と一緒に向上しようというのは誠実さの表れだと思う」

また3月に右ひじのクリーニング手術を行い、ファームで調整中の則本昂大については若手と接している様子がイメージとは違ったという。

「韓国だと主力選手がファームに来ると違和感を覚えることも少なくないが、ここにはそれがない。則本昂はあれだけ実績のある選手なのに、後輩に対して威張るようなこともなく、時折、冗談を言ったりしている。その振る舞いに多少硬さはあるものの、みんなが楽しく練習出来るように、自ら進んで雰囲気づくりをしているのがすごい」

イ研修コーチは日韓球界の決定的な違いに、先輩と後輩の関係性を挙げた。

「ここでは自分が使った練習器具を誰もが自ら片付けているが、韓国では年長選手のそういう行動はまず見られない。後輩がやるのが当たり前になっている。日本の場合、先輩後輩の関係性があってもグラウンドでは同じ選手として過ごすというのが、習慣になっているのだと思った」

イ研修コーチはこれまで数々の国際大会で日本と対戦し、韓国に在籍した多くの日本人コーチ、選手とも接点があった。九州、沖縄でのキャンプ経験も多い日本通だ。しかし今回、日本のチームの中に入って改めて感じたことがある。

「日本は若手、ベテラン問わず、野球に対しての敬意がある」

(つづく)

第2回 ⇒「内田は活躍する能力がある

第3回 ⇒「10年前に日本でプレーする可能性あった

<イ・ジンヨン(李晋暎) 群山商高から1999年にサンバンウルレイダース(のちに消滅)に入団。SKワイバーンズLGツインズ、KTウィズでプレーし、昨年、20年間の現役生活を終えた。通算成績は2160試合、打率3割5厘、169本塁打、979打点。身長185センチ、体重90キロ。1980年6月15日生まれの39歳>