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ブラヒム・ディアス問題。燻っていた火種とフットボーラーが輝く場所。

森田泰史スポーツライター
ドリブルするB・ディアス(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

ブラヒム・ディアスのモロッコ代表選択は、大きな波紋を呼んだ。

B・ディアスはスペインのマラガ出身だ。そこで生まれ育ち、7歳でマラガのカンテラに入団。ユース世代でマンチェスター・シティに移籍するまで、ずっとマラガでプレーしていた。

■B・ディアス問題

そう、B・ディアス問題だ。

B・ディアスの両親はスペイン人だ。彼の父方の祖母がモロッコ人で、それが今回の代表招集につながった。だが世代別代表ではラ・ロハ(ラ・ロヒータ)の赤いユニフォームを着用してプレー。いつ、A代表に呼ばれてもおかしくなかった。

しかしながらルイス・エンリケ監督やルイス・デ・ラ・フエンテ監督から声が掛かる事はなかった。レンタル加入したミランで頭角を現しても、レンタルバック後のマドリーで徐々に序列を上げていっても、スペイン代表からのラブコールはついぞ受けなかった。

確かに、いま、B・ディアスがスペイン代表でレギュラー起用されるかは分からない。だがマドリーでヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、ジュード・ベリンガムの次に控える立場で活躍したように、 代役として、時にジョーカーとして、好パフォーマンスを披露できる。それは度々、「ボールを保持しながら崩しきれない」という現象に対峙するラ・ロハにとってこそ、必要なものだったのではないだろうか。

B・ディアスは左利きだ。だが非利き足の右足を巧みに使える。ドリブル、繊細なタッチ、正確なパスが要求される場面では左足を使うが、ロングパスやシュートシーンでは遠慮なく右足を振り抜く。突破力、プレービジョン、得点力に優れ、なおかつイタリアの武者修行の日々で守備が改善された。まさにトータル・フットボーラーとして、スペインに戻ってきたのだ。

■スペイン代表とウィングの選考基準

デ・ラ・フエンテ監督はウィングの選手としてニコ・ウィリアムス、ラミン・ヤマルを重宝している。

ほか、フェラン・トーレス、ジェレミー・ピノといった選手が招集されてきたが、彼らは負傷離脱中だ。また直近の招集リストにおいては、ダニ・オルモやアレックス・バエナというIH/WGの選手、ジェラール・モレノやミケル・オジャルサバルというCF/WG型の選手が呼ばれている。

ボールをコントロールするヤマル
ボールをコントロールするヤマル写真:ムツ・カワモリ/アフロ

詰まるところ、特別に戦術的な拘りがあるわけではないように見える。無論、能力の高い選手たちであるが、ここに現在のB・ディアスが割って入れない訳がない。

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■前例と指揮官の対応

B・ディアス騒動が話題を呼んでいるのは、デ・ラ・フエンテ政権で、すでに2選手が似たような経緯で代表招集を受けているためでもある。ヤマル(モロッコ/スペイン)、ロビン・ル・ノルマン(フランス/スペイン)のケースだ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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