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なぜエムバペに再び移籍の噂が浮上しているのか?パリSG、レアル、代理人…それぞれの思惑と事情。

森田泰史スポーツライター
去就に注目が集まるエムバペ(写真:ロイター/アフロ)

話題が、尽きない。

この夏、欧州を賑わせたのがキリアン・エムバペの去就問題だ。一時はパリ・サンジェルマンのプレシーズンツアーの招集リストから外され、移籍が濃厚視された。ただ、最終的にはパリ残留が決定している。

パリに残ったエムバペ
パリに残ったエムバペ写真:ロイター/アフロ

「おそらく、より大きな責任を負うタイミングが訪れた。パリで、僕は幸せになれると思う。でも、他の場所でも幸せになれるかも知れない」とは2019年5月のエムバペのコメントだ。

そう、エムバペは“自分が中心にいるプロジェクト”を求めていた。

パリSGは今夏、クリストファー・ガルティエ前監督に代わり、ルイス・エンリケ新監督が就任した。リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)、ネイマール(アル・ヒラル)の移籍が決まり、新たなチームビルディングが行われる運びとなった。

エムバペが中心になる下地は整っていた。

敗戦にショックのパリSG
敗戦にショックのパリSG写真:ロイター/アフロ

だが今季のパリSGは序盤戦で苦しんでいる。リーグ・アンでは、8試合で4勝3分け1敗。首位のモナコ、2位のニースに次いで、3位に位置している。

また、チャンピオンズリーグでは、グループステージ第2節のニューカッスル戦で1−4と敗れている。クラブ史上2番目のCLでの大敗で、さらに、ニューカッスルとの「国家クラブ」同士の試合で大差で敗れるという象徴的なゲームになった。

■エムバペとパリSGの契約

状況を整理しておくと、エムバペは2024年夏までパリSGと契約を結んでいる。

エムバペは昨年夏、パリSGと契約延長を行った。その際に「2年+1年の延長オプション」で書類にサインしたのだが、その1年の延長オプションを行使しない旨をすでにクラブ側に通達している。

エムバペとルイス・エンリケ監督
エムバペとルイス・エンリケ監督写真:ロイター/アフロ

しかし、パリSGはエムバペとの契約延長を諦めていない。

「ルイス・エンリケ監督が言ったように、スカッドは決まった。我々は現在のメンバーに満足している」とはナセル・アル・ケライフィ会長の言葉だ。

「我々はエムバペとポジティブな会話を行った。エムバペは素晴らしい選手で、人としても、プロフェッショナルとしても一流だ。加えて、我々はエムバペの家族とも話をした」

ただ、エムバペは代理人に関して問題を抱えているといわれている。これまで、エムバペの代理人を務めていたのは、彼の母親のラマリ・ファイサ氏だった。しかしながら、FIFAのエージェント制度が、この10月に変更され、新たな制度が導入されることになった。その資格をファイサ氏が満たしていない可能性が、欧州の一部メディアで指摘されている。

■レアル・マドリーの考え

一方、エムバペの移籍先候補として、度々、取り上げられるのがレアル・マドリーである。

マドリーは、この夏、ジュード・ベリンガムを獲得した。移籍金1億300万ユーロ(約155億円)をボルシア・ドルトムントに支払い、イングランド代表MFを確保している。

そのベリンガムは、マドリーに加入して即座にフィットした。公式戦10試合に出場して、10得点3アシストを記録。すでにマドリディスタの心を掴んでいる。

ベリンガムの活躍はエムバペを取り巻く喧騒を沈めた。「たられば」を承知で言えば、ベリンガムの好パフォーマンスがなければ、「やはりトップクラスのアタッカーを獲得しておくべきだった」という論調が強まっていたはずだ。

ドリブルするベリンガム
ドリブルするベリンガム写真:ロイター/アフロ

ベリンガムは素晴らしい活躍を見せている。とはいえ、それはマドリーが今後のマーケットでゴールスコアラーの獲得に動かないことを意味するわけではない。

マドリーは近年、若手推進プロジェクトを進めている。ベリンガム(20歳)、オウレリアン・チュアメニ(23歳)、エドゥアルド・カマヴィンガ(20歳)、ロドリゴ・ゴエス(22歳)、ヴィニシウス・ジュニオール(23歳)…。この数年、世界中からヤング・タレントを集めてきている。

その観点で、マドリーの補強候補に挙げられているのが、エムバペ(24歳)、アーリング・ハーランド(23歳)だ。

■エムバペとハーランドを狙う理由

エムバペは、先述の通り、来夏、フリーになる選手だ。この数年、マドリーの関心を“スルー”してきた過去はあるが、それでも彼の年齢と決定力というのは魅力的である。

ハーランドは、昨年夏、ドルトムントからマンチェスター・シティに移籍。ジョゼップ・グアルディオラ監督の下、瞬く間に適応して、公式戦53試合に出場して52得点をマークした。

ハーランドに関しては、2024年夏に行使可能な契約解除金が存在するとみられている。奇しくも、来年の夏、ビッグクラブに獲得の可能性が生じるのだ。

シティでプレーするハーランド
シティでプレーするハーランド写真:ロイター/アフロ

「私はエムバペについては話さない。彼はパリ・サンジェルマンの選手だからだ。我々はすべてのクラブに敬意を払っている。マドリーの選手ではないなら、その選手については語らない」

「マドリーの選手たちは、全員、今シーズンに集中している。今後、彼らが考えを変えるかどうかは分からない。しかし、私に恐れはない」

カルロ・アンチェロッティ監督は以前、このように語っていた。

移籍の可能性があるエムバペ
移籍の可能性があるエムバペ写真:ロイター/アフロ

マドリーは、ベリンガムの獲得の時のように、戦略的に若い選手を確保しようとしている。

そこに、エムバペ、ハーランド、いずれかが嵌まる可能性はある。それは今後のシーズンの結果次第だが、彼らの動向から目が離せないのは確かである。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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