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森保ジャパンに提唱したい久保建英の2トップ案。ラ・レアル型のシステムと「左サイドの迎撃」

森田泰史スポーツライター
アメリカ戦でスタメン出場した久保(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

本大会に向けて、競争が激化している。

11月に開催されるカタール・ワールドカップに向け、森保一監督が率いる日本代表は準備を進めている。23日に行われた国際親善試合のアメリカ戦では、2−0で勝利を収めた。

■森保ジャパンの基本布陣

日本は最終予選でシステムを固めた。【4−3−3】が森保監督の中で基本布陣となり、遠藤航、田中碧、守田英正が不動の存在になった。

ただ、アメリカ戦では、システムチェンジが行われた。【4−2−3−1】にしてプレスが嵌り、アメリカ相手に快勝した。

アメリカに勝利した日本
アメリカに勝利した日本写真:なかしまだいすけ/アフロ

アメリカとのゲームでは、収穫と課題があった。

だが最終予選やアメリカ戦で機能していたシステムを「あえて変える」という視点で、ここからは考えてみたい。ズバリ、久保建英の起用法だ。

久保は今季、レアル・ソシエダで、【4−4−2】でプレーしている。彼に与えられているポジションは2トップの一角で、ここまで1得点2アシストを記録している。

これをそのまま日本代表に当て嵌める。

遠藤、田中、守田を変える必要はない。彼らにはソシエダのマルティン・スビメンディ、ミケル・メリーノ、ブライス・メンデスと似たような働きが期待できる。

トップ下には、鎌田大地を置く。ダビド・シルバとは異なるが、所属クラブのフランクフルトで2シャドーの一人としてプレーしており、最も「トップ下的」な役割を担えると判断する。何より、この点は後述するが、鎌田が動いて空けたスペースを久保が使うというムーブが望める。

そして、トップだ。久保の相方である。現状では、このポジションには古橋享悟あるいは南野拓実を据えるべきだろう。

ただ、本来であれば、アレクサンダー・セルロートのようなタイプのストライカーが理想だ。すると、浮かび上がってくるのが大迫勇也である。

大迫に関しては、一時、決定力不足が原因で批判が吹き荒れた。今回の招集においては、コンディションを理由に選外となっている。

しかしながら、である。しかしながら、やはり、現段階で大迫以上にポストプレーが巧みなストライカーというのは、日本には存在しない。

久保の使い方、2トップ、というのを考える時、「久保+大迫」というのは魅力的な組み合わせだ。

■戦術の選択肢

それでは、肝心の戦術である。

久保はソシエダで司令塔の役割を担っているわけではない。どちらかと言えば、彼にはスペースへのランニングが求められている。

スペースに走る久保とポストプレーヤータイプのCF(ここでは大迫とする)がいる。

シンプルに久保にフィードしても良ければ、逆に引いてきた大迫にボールを預けても良い。

(2トップの連動性)

そして、ここに日本代表ならではの「エッセンス」を加える。先述した鎌田と久保の関係性だ。

具体的には、トップ下の鎌田が左に流れる。トップ下のスペースが空き、そこに久保が落ちてくる。

(左に流れる鎌田とトップ下に入る久保)

鎌田はフランクフルトで、左シャドーでプレーしてきている。普段のプレーエリアで、ボールを受けやすくなる。また、久保はスペースランニングのタスクから瞬間的に解放され、本当に彼がやりたいプレー、ドリブルやパスでチャンスメークできる。

しかし、これだけでは終わらない。次のステップが、「左サイドの迎撃」だ。

■左サイドの迎撃

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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