騒ぎ過ぎだ、と思う。

ジャマイカ戦の久保建英の得点は、マスメディアとソーシャルメディアを通じて、瞬く間に世界を駆け巡った。スペイン『マルカ』や『アス』でも、「東京五輪のセンセーションになる」「夏の到来で名手が殻を破った」と久保のゴラッソ(スーパーゴール)が取り上げられていた。

無論、開催さえ危ぶまれている状況で、彼のような選手が東京五輪世代の日本代表にいるのは喜ばしいことだ。ただ、「3人の股抜き」「4人の股抜き」という言葉が独り歩きするのは良い兆候とは言えない。

■5人抜きの価値

2006-07シーズン、リオネル・メッシの伝説のゴールが生まれた。コパ・デル・レイ準決勝ファーストレグのヘタフェ戦で、メッシが「5人抜き」から得点を記録した。このゴールは、度々、ディエゴ・マラドーナのそれと比較される。

マラドーナは1986年のメキシコ・ワールドカップ準決勝のイングランド戦で「5人抜き」を披露した。マラドーナの得点でイングランドに競り勝ったアルゼンチンは決勝で西ドイツを破り、優勝を決めている。

一連のプレーは酷似していた。だが「いつ」「どこで」を考慮した場合、マラドーナのゴールの方が圧倒的に価値が高い。ワールドカップの準決勝とコパ・デル・レイの準決勝ファーストレグでは、プレッシャーと対戦相手の圧がまったく異なる。