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県勢初優勝だけじゃない! 山梨学院が打ち立てた快挙の数々!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツは山梨学院が県勢初優勝の快挙。快挙はほかにいくつもあった(筆者撮影)

 記念大会にふさわしく熱戦続きだったセンバツは、山梨学院の初優勝で幕を閉じた。今大会前まで山梨勢は甲子園の決勝に進んだことのない4県のうちの一つだったが、初めての決勝進出で、地元の報徳学園(兵庫)に逆転勝ちは、見事の一言に尽きる。

昨夏、今春と、優勝空白が解消された

 昨夏、仙台育英(宮城)が甲子園大会の初優勝を果たし、東北6県で最初に優勝空白を解消した。その段階で優勝空白は青森、秋田、岩手、山形、福島、山梨、新潟、富山、石川、滋賀、鳥取、島根、宮崎の13県だった。ちなみに上記の県で決勝進出がないのは山形、山梨、富山、島根で、宮崎を除けば、冬場の気候に恵まれない「寒冷地」という共通点がある。そして今大会、山梨学院が県勢初の決勝進出で、一気に頂点まで駆け上がった。これで優勝空白は12県決勝未経験は3県になった。

6勝してのセンバツ優勝は史上初

 今大会は95回記念で例年より4校多い36校が出場した。したがって1回戦が4試合組まれ、ここに入った8校は、6勝しないと優勝できない。山梨学院は開幕試合で東北(宮城)に競り勝って、同校にとって通算5勝目をマークした。常連校という印象だが甲子園ではなかなか勝てず、優勝インタビューで吉田洸二監督(53)の「毎年のように期待を裏切り続けたが、少しは帳消しにしてもらえたら」というコメントは偽らざるところだろう。実際には、山梨の高校球史を次々と塗り変えたのだから、帳消しどころではない。いくら褒めても褒めたりないくらいだ。6勝してのセンバツ優勝は史上初めてで、並ぶとしても5年後の100回大会を待たねばならない。それくらいレアで、値打ちのある優勝だった。

吉田監督は2県の高校球史を塗り替えた

 前出の吉田監督は長崎の出身で、14年前に県立の清峰をセンバツ優勝に導いた。その時点で長崎も優勝空白県だったので、地元にとっての初優勝は快挙だったし、その3年前のセンバツ準優勝も長崎勢初の決勝進出だった。長崎で段階を踏んで決勝進出、優勝と駆け上がった吉田監督は、出身校が山梨学院大だったこともあり、10年前、系列の山梨学院(当時は山梨学院大付)に監督として招かれた。そして山梨でも今回、初の決勝進出を果たし、そして初優勝させた。異なる2県で、初めて決勝に進出し、初優勝させた指導者など見当たらないし、今後も出ることはないだろう。

林投手もセンバツ1大会最多勝

 ほかにも、開幕試合に勝っての優勝や、エース・林謙吾(3年)のセンバツ1大会最多の6勝などの快挙があった。ちなみに山梨学院は開幕戦で後攻だったため、林は大会の最初の一球と最後の一球を投げている。センバツの余韻も冷めやらぬ中、センバツを逃したチームはもちろん、敗れ去ったチームも最後の夏に向けて始動している。高校野球は、1年生の新戦力加入で劇的にチームが変貌することも珍しくない。夏にまた新たな快挙が生まれることを期待している。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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