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これも夏の甲子園の風物詩! どこの学校を持つかはどのように決める? 開会式プラカード係オーディション

森本栄浩毎日放送アナウンサー
市西宮の生徒たちは、甲子園での先導を夢見て、オーディションに参加した(筆者撮影)

 夏の甲子園開幕まで三週間。今大会は3年ぶりの通常開催となりそうで、開会式も現状、出場49校の全選手が参加して行われることになっている。開会式で出場校のプラカードを持って先導するのは、地元・兵庫県西宮市の市西宮の女子生徒たちだ。昭和24(1949)年から続く伝統行事で、「甲子園でプラカードを持ちたい」と、西宮市内公立校で偏差値トップの同校を志望する生徒も少なくないという。

競争率1.8倍の「狭き門」

 実際に甲子園を行進するのは2年生で、今年は65人の定員に、118人がエントリー(当日2人が欠席)した。競争率は1.8倍という「狭き門」だ。

市西宮は一昨年で創立100年という伝統校で、現在は西宮市内の公立校で入試最難関。かつては3年生が先導していたが、夏休み中の負担が多く受験に影響するということで、2年生の行事になった。(筆者撮影)
市西宮は一昨年で創立100年という伝統校で、現在は西宮市内の公立校で入試最難関。かつては3年生が先導していたが、夏休み中の負担が多く受験に影響するということで、2年生の行事になった。(筆者撮影)

 体育館に集合(タイトル写真)した生徒たちは、選考責任者の青石尚子教諭から、「間隔を保ったままリズム良く歩くこと。左足からスタートして」と注意を受け、クラスごとの出席番号順に、一人ずつ体育館を一周した。

「例年より普通に歩けた」という印象

 大会の入場行進曲が響く中、生徒たちはプラカードの柄に見立てた竹の棒を持ち、緊張した表情で歩き始める。あらかじめ歩き出すタイミングは青石教諭から指示されているが、思わず「フライング」したり、最後の直線で前の生徒との間隔が詰まってしまったりするハプニングもあった。ただ、指導歴25年の青石教諭によると、今回は「ガチガチになったりせず、例年より普通に歩けたかな」という印象だったようだ。

「姿勢とリズム感」が評価ポイント

 審査を行うのは、青石教諭や同校野球部の吉田俊介監督ら体育教諭6人で、それぞれが、決められた場所で厳しいチェックを入れていた。評価のポイントは「姿勢とリズム感」だそうで、審査の教諭は、縦から、横から、それぞれの持ち場で、どこをどう見るかの役割も決まっているそうだ。姿勢はともかく、リズム感など筆者にはまったくわからないが、ダンス部顧問の教諭は、「もう全然(ダメ)。登下校で歩いてるのとちゃうで」と頭を抱えていた。

プラカードを持てるのは50人

 合格発表は5日後の20日で、合格者は全員がコロナのPCR検査を受ける。さらに8月に入ると、2日間の厳しい直前特訓が待っている。課題とされる姿勢やリズム感は、この特訓で徹底的に矯正されるという。65人中、実際に校名プラカードを持てるのは、49人。「前年優勝校」というプラカードを合わせても50人で、残りの生徒は、大会旗や国旗を持ったり、3日の抽選会で校名掲示の手伝いをしたりする。

横一列の中央に背の高い生徒を配置

 開会式のクライマックスは出場全選手による一斉行進。外野に並んだ長方形が、大きなうねりとともにダイヤモンドに向かって前進する光景を目にして、感動した読者も多いことだろう。この先導が、一番難しい。本番での生徒たちの「配置」についても、青石教諭が教えてくれた。「横一列に並んだ時、真ん中に背の高い生徒がくるように、身長でどこのプラカードを持つか決める」のだそうだ。ぜひ彼女たちが「なだらかな山型」に並んでいるか、開会式で確認していただきたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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