U18侍ジャパン世界一逃す!  アジアのライバルにまたも苦杯

U18日本代表は、韓国、豪州に敗れ、悲願の世界一を逃した(筆者撮影=昨年大会)

 悲願の世界一は次世代へ持ち越しとなった。韓国で開催されている野球のU18ワールドカップで、日本代表は、地元・韓国に延長タイブレークの末、逆転サヨナラ負け。1次ラウンドの成績が引き継がれるため、台湾に敗れた黒星が重くのしかかり、最終戦を前に、自力での決勝進出がない状態だった。ショックが残る中、7日の最終戦では打線が沈黙して豪州に1-4で完敗。決勝はおろか、3位決定戦にも進めず、2勝3敗の5位で全日程を終えた。試合を観戦して感じたことを列挙してみたい。

課題が露呈した韓国戦

 1次ラウンド上位3チームによるスーパーラウンドは、勝ち残ったチーム間の勝敗が消えず、台湾に敗れていた日本は1位通過ながら、1勝1敗でのスーパーラウンドスタートとなった。初戦のカナダには、奥川恭伸(石川・星稜)の力投で辛勝したが、地元・韓国には守備の乱れで勝利を手放した。サヨナラ負けにつながった10回裏のタイブレークの場面では、バント処理を焦った林優樹(滋賀・近江)の失策が響いたが、甲子園と同じ今大会のタイブレークルールは、よほど打順の巡りに差がない限り後攻が有利なので、バントが決まった段階で同点に追いつかれていた公算が大きい。8回を守り切れなかったのが本当の敗因だ。悪送球した石川昂弥(愛知・東邦)は、地方大会で早々に敗退していて、誰よりも準備期間があった。実際、木製バットでの対応力は群を抜いていて、4番打者としての存在感は際立っていた。送球も高かったわけではなく、本職の一塁手であれば捕球できたかもしれない。少なくとも、後逸していなければ1点のリードは保てていた。一塁手の韮沢雄也(埼玉・花咲徳栄)は、自身のファーストミットすら持っておらず、選手を責めることはできない。今チームの課題が浮き彫りになった瞬間だった。

懸念されていた不慣れなポジション

 永田裕治監督(55)は大会前、「投手を含めた守りで一戦必勝をめざす」と話していた。木製バットへの対応はこれまでからの課題で、国際大会ではまず打てないことを念頭に置いて、チーム編成を行っている。したがって、めざすべき方向性は間違っていない。現に投手陣は、質、量ともトップなのは誰の目にも明らかだ。しかし、8月20日に発表された野手メンバーを見て驚いた。内野登録7人中、石川を除く6選手が遊撃手だったからだ。さらに、外野手は2人だけで、いずれも2年生。野手で出場する投手も含め、不慣れな守備位置には目をつぶることも織り込んでの人選だった。結果的に、このやりくりが、大事な場面で投手の足を引っ張ることになる。

2年連続で韓国と台湾に連敗

 台湾戦は、雨中での消耗戦となった。勝ち越された5回は、遊撃の連続失策からピンチを招き、左中間越えの長打で2点を失った。このあとグラウンド整備に時間がかかるとされ、わずか5回でのコールド負け(スコア1-3)は不運としか言いようがない。昨年のアジア選手権でも打ちあぐんだ相手左腕を打てず、終盤勝負の目論見が崩れた。遊撃は熊田任洋(東邦)で、永田監督が特に守備力を評価し固定していて、悪送球を連発するような選手ではない。雨の影響があったことは間違いなく、球運にも見放された。試合内容はともかく、これで日本は、2年続けてアジアのライバル、韓国と台湾に連敗したことになる。今後、世界一をめざす上で、これらライバルに後れをとることは許されない。

「二刀流」選手の価値を再認識

 攻撃陣は、「スター軍団」といわれながら不発だった昨年とは違い、ある程度の成果は出ていた。昨年、右のスラッガー不在で、左腕投手に牛耳られた反省から、4番に右打者の石川を固定し、得点源となった。球数制限があることから、投手も打力のある選手が重宝され、今回は西純矢(岡山・創志学園)と宮城大弥(沖縄・興南)が、野手との「二刀流」で活躍した。本職の投手としても、エースとして期待した佐々木朗希(岩手・大船渡)が指の負傷で機能せず、奥川も甲子園の疲れが抜け切らない中、西と宮城は1次ラウンドから大車輪の働きだった。昨年は、根尾昂(大阪桐蔭~中日)、野尻幸輝(千葉・木更津総合~法大)が、いわゆる「つぶしの利く」選手の代表格だったが、投打にわたる活躍度は今年の方が上回っていた。加えて、韓国戦で見せた両者の外野からの好返球は、彼らの優れた野球センスを感じさせた。いずれにしても、打力のある一線級投手は、ますます存在価値が高まっている。

夏の甲子園による消耗は大きな課題

 選手の選考については、高野連の技術・振興委員会が長期間にわたって議論を重ねていて、毎年、選手が入れ替わる中、ベストの布陣を選出しているはずだ。昨年の左打者偏重と今年の遊撃手偏重は気になるが、トータル20人と人数に限りがあり、前述の二刀流投手との兼ね合いで、ある程度の偏りはやむを得ない。しかし、主戦投手と期待した昨年の吉田輝星(秋田・金足農~日本ハム)や今大会の奥川が、甲子園の激闘疲れで、本来からはほど遠い出来だった。いかに実力者であろうと、ベストの状態でないことがはっきりしている選手を選ぶリスクは大きい。

野手代表の数人は早い段階で決めても

 国際大会そのものが夏の甲子園直後に行われるため仕方ないが、今春センバツ直後に代表候補を集めて合宿を行った意味は大きく、選手たちのモチベーションが上がったと聞く。今後は、代表合宿の回数や候補選手を増やしたり、数人は早い段階で代表に決定しておくのもいいのではないか。所属校の浮沈に直接かかわる投手を決めるのは難しいが、木製バットへの対応が急務の野手は選びやすい。地方大会で、早々と敗れた東邦の二人がバットで結果を残し、それを証明した。

チームスポーツを短期で熟成させる難しさ

 昨年、実際に宮崎で取材して感じたが、選手個々の能力は高くても、チームスポーツである野球は、短期間で仕上げることが難しい。競技の性質上、攻守がはっきり分かれているため決まり事も多く、それぞれを機能させるには、ある程度の時間と実戦経験が必要だ。天候にも恵まれなかった今回は、チーム練習も制約が多かったと察する。結果的に、守備の破綻がクローズアップされたが、不慣れなポジションを守った選手が、攻撃に集中できなかったとすれば、気の毒というほかない。それでも選手たちは、2年生の二人を除いて、プロ、社会人、大学へとそれぞれの道を歩み始める。この経験を生かし、将来、侍JAPANのトップチームでも世界を相手に戦ってほしいと願っている。