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東邦 平成の最初と最後を飾るか! 習志野と決勝

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの決勝は習志野と東邦。平成最初の王者・東邦が最後も締めるか(筆者撮影)

 3月14日の「キャプテントーク」で、東邦(愛知)の主将・石川昂弥(3年)は、「ウチは平成元年に優勝して、平成最後も絶対に優勝します」と言い切った。その頂点まであと1勝だ。

「常に優勝を意識」東邦監督

 地元の明石商(兵庫)を4-2で破って決勝進出を決めたあと、インタビュー台で森田泰弘監督(59)は、「ウチは一番多く優勝(4回)しているし、先輩方が築いた伝統がある。センバツに出るときは常に優勝を意識しないといけない。今回は、全国トップクラスの石川がいて、チャンスと思っていた。明日は絶対に優勝する」と力強く『宣言』した。初戦こそ、21世紀枠の富岡西(徳島)の無欲の挑戦にてこずったが、2回戦では、150キロ右腕・河野佳(3年)の広陵(広島)を一蹴。準々決勝も九州王者の筑陽学園(福岡)を終始、攻めて完勝した。準決勝は、明石商の中森俊介(2年)と石川の投げ合いになったが、終盤に、7番・吉納翼(2年)の3ランで先制して逃げ切った。今大会は、相手に一度もリードを許していない。

優勝候補筆頭を破った習志野

 決勝の対戦相手は、明豊(大分)を逆転で破った習志野(千葉)で、大会前の下馬評は決して高くはなかった。昭和40年代から活躍し、夏の全国優勝が2回ある名門で、多くの一流プロ選手が輩出している。昭和50(1975)年の優勝投手は、小川淳司・現ヤクルト監督だった。夏の甲子園では非常に強く、出場すれば初戦で負けることは珍しい。ただ、春は3回出てわずかに2勝と意外な結果で、今大会での躍進を予想した人は少なかった。2回戦で、優勝候補筆頭の星稜(石川)に3-1で逆転勝ちして、勢いに乗った。東邦とは対照的に、2回戦以降は、相手にリードを許す展開をひっくり返していて、準決勝の明豊にも、初回に3点を奪われての劣勢を挽回した。粘り強い攻撃と、絶妙の継投を見せる小林徹監督(56)の采配が冴えている。

両先発の出来がポイント

 さて、決勝は、両校の先発がまずポイントになる。東邦は、準決勝完投の石川が連投するか、好調の右腕・奥田優太郎(3年)の先発もあるか。いずれにしても、石川が先発すれば簡単には降ろせない。序盤で石川が打たれると、救援陣が相手の勢いを止めるのは困難だ。石川を温存して、勝負所でスイッチする策が無難か。習志野は、明豊戦も先発した左腕・山内翔太(2年)の連投が濃厚。初回こそつかまったが、2回からは立ち直って6回まで3失点で投げ切った。最速147キロ右腕の飯塚脩人(3年)は、昨秋から救援専門で、決勝も当然、ブルペン待機になるだろう。同点に追いついたタイミングで救援した明豊戦のように、終盤で送り出せるような展開にしたい。

攻撃は東邦優位

 攻撃陣は、やや東邦が優位か。石川のあとを打つ4番・熊田任洋(3年)が、.438と当たっていて、下位打者での得点も多い。準決勝で死球を受けた河合佑真(3年)は出場が困難で痛いが、森田監督は、「(準決勝は)全員が一丸となっての勝利。ウチらしい戦い方ができている」と主力の故障を全員でカバーするつもりだ。習志野は、2回戦の死球で負傷した根本翔吾(3年)が準決勝で復帰。終盤、美技でピンチを救うなど、存在の大きさを再認識させた。4番の桜井亨佑(2年)が勝ち越しアーチを放ち、小林監督を安心させた。下位にも好調の兼子将太朗(3年)がいて、頼もしい。先発投手を先に崩した方が、優位に立てるだろう。

平成最後は名門対決

 習志野の小林監督は、「最後まで諦めず、つないで粘って、全員が束になってかかっていく」と無欲を強調すれば、東邦の森田監督は、「今までやってきたことを貫いて、絶対に優勝する」と対照的だった。継投のタイミングや選手起用など、ベテラン監督同士の采配も妙味。平成を締めくくる名門対決は、大熱戦必至だ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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