勝てばプレーオフ以上確定 A級順位戦6連勝中の渡辺明三冠(35)1月4日に稲葉陽八段(31)と対戦

(記事中の画像作成:筆者)

【前記事】

渡辺明三冠(35)A級順位戦6連勝! 初の名人挑戦に向けて大きく前進

 1月4日(土)。大阪の関西将棋会館においてA級順位戦7回戦▲稲葉陽八段(31歳)-△渡辺明三冠(6勝0敗)戦がおこなわれます。

 対局は「名人戦棋譜速報」などで中継されます。

 将棋界の仕事初めに当たる「祈願祭」「指し初め式」は例年1月5日におこなわれます。以下は昨年の模様です。

 指し初め式より前に公式戦の対局がつくことは、ほとんどありません(前例はわずかにあります)。これから王将戦七番勝負、棋王戦五番勝負で防衛戦が始まる渡辺三冠(棋王・王将・棋聖)のハードスケジュールを表すものでしょう。

 両者の過去の成績は渡辺三冠8勝、稲葉八段4勝。2019年度は棋聖戦決勝トーナメント2回戦で対戦し、渡辺現三冠が勝っています。

 A級順位戦は最も成績のよい棋士が名人挑戦権を獲得します。今期は10人のA級棋士が、豊島将之名人(29歳)への挑戦権を争っています。

 順位戦では前年度の成績に基づく「順位」が昇級争い(及び残留争い)では大きくものを言います。ただし名人挑戦権に関しては、A級で同率トップの成績者が複数出た場合、その全員が参加してのプレーオフがおこなわれます。

 こちらは成績順に並べ替えた表です。

画像

 現在トップの渡辺三冠がもし7回戦を勝てば7勝0敗。残り2戦を2連敗すると7勝2敗となります。

 現在4勝2敗で2番手の広瀬章人八段、三浦弘行九段が残りを全勝すると7勝2敗で、同成績で並びます。つまり渡辺三冠は7回戦の稲葉八段戦に勝つと、プレーオフ進出以上が確定することになります。

 また7回戦で渡辺勝ち、広瀬、三浦負けの場合には、その時点で渡辺三冠の名人挑戦が決まります。1987年度には谷川浩司現九段、2003年度には森内俊之現九段が7連勝で、1月中に名人挑戦を決めた例もあります。

 稲葉八段は12月の6回戦で久保利明九段と対戦。終盤ではピンチに陥ったかにも見えましたが、最後は勝利。まずは残留に向けて、大きな白星を挙げました。

 現在3勝3敗の稲葉八段は、7回戦の渡辺三冠戦に勝てば名人挑戦権の可能性も残ります。

 稲葉八段はA級1期目の2016年度に8勝1敗で名人挑戦権を獲得。佐藤天彦名人(当時)に名人戦七番勝負で挑んで、2勝4敗で敗退しました。

 翌2017年度はA級の人数は例年より1人多く11人でおこなわれました。その結果、6勝4敗で上位6人が並び、記録的な6人プレーオフとなっています。

画像

 A級プレーオフは「パラマス式トーナメント」という方式で、上位であるほど有利になります。稲葉八段はこの時最上位で1勝すれば名人挑戦権を得られる立場でした。しかしそこで羽生竜王に敗れ、2年連続での名人挑戦はなりませんでした。

 今期A級はここまで渡辺三冠の独走のようですが、ここから失速すれば、にわかに大混戦になる可能性もあります。

 1988年度のA級順位戦では、内藤國雄九段が開幕から6連勝するも、終盤で3連敗。最終的に6勝3敗でプレーオフにも届かなかった、という例もありました。

 2020年も年初から、早速大きな一番です。はたしてどのようなドラマが待っているのでしょうか。