夏のU-20女子W杯に向けてスタートを切ったヤングなでしこ(監督・選手コメント)

アジア王者としてW杯に臨む(左から松田紫野、伊藤めぐみ、高橋はな/筆者撮影)

 今年8月(予定)にコスタリカとパナマの共同開催で行われるU-20女子W杯に向け、2月3日から4日間、U-20日本女子代表候補が静岡県内でトレーニングキャンプを行った。

参照記事:夏のU-20女子W杯に向けてスタートを切ったヤングなでしこ。アジア王者として臨む世界の舞台

 同大会のアジア予選にあたるAFC U-19女子選手権が、昨年10月から11月にかけてタイで行われ、日本はグループステージでミャンマー(◯5-0)、韓国(◯2-0)、中国(◯2-1)、準決勝でオーストラリア(◯7-0)、決勝では北朝鮮(◯2-1)を下す快進撃で優勝を果たした。U-20女子W杯に、アジア王者として臨む。合宿時に池田太監督と選手たちに話を聞いた。(写真はすべて筆者撮影)。

監督・選手コメント

池田太監督
池田太監督

池田太監督

ーー今回の合宿のテーマを教えていただけますか?

目的は4つあって、ひとつはW杯に向けての目標確認です。このチームを立ち上げた時に、「AFCのアジア予選(AFC U-19女子選手権タイ2019)で優勝する」、「W杯で優勝する」、「なでしこジャパンに向かっていく(選ばれるように個々のレベルを上げる)」、「応援されるチームになる」という4つの目標を立てました。最初のひとつは達成できたので、今後の目標を確認しました。

2つ目の目的が、AFC(アジア予選)の振り返りです。(予選に)招集していない選手もいますが、去年戦ってきたことの成果と課題を確認しました。3つ目がフィジカルアプローチです。体づくりも含めてやっていくことを共有しました。最後は、『世界基準』を共有することです。なでしこジャパンの(昨夏の)W杯や2年前のU-20のW杯で、世界各国がどのぐらいのレベルだったかを共有しました。

ーーウェイトトレーニングなども行っていましたね。

W杯に向けて積み上げる(体づくりの)ベースの部分で、ストレングストレーニング(※)を行いました。自チームで(日々の練習で)やれる部分や、足りないところを補うために必要なトレーニングの基本フォームとか、そういったことのレクチャーも含めて行いました。

ーー今回の合宿は26名中21名がアジア予選のメンバーですが、チームとして継続を大切にされているのでしょうか。

チームとしての積み上げを大切にしていますが、この年代の選手はいろんな(可能性を持った)選手がまだまだいると思うし、今後視察にもいく予定です。(新しい候補選手たちが)出てきて欲しいと思っています。

ーー今年の夏に行われるU-20女子W杯までの約半年間で、どのように積み上げていきたいと考えていますか?

アグレッシブに戦う中で、仲間のトライをみんなが尊重して、ミスをしたら全員でカバーする。そういったフォアザチームの心を大切にするチームになればいいなと思っていますし、そのベースの中で各選手が持っている特徴を伸ばしてくれれば、先につながると思います。

(※)ウエイトトレーニングのマシンや用具を用いて、筋機能(筋持久力やスピードなど)を高め、コントロールするためのトレーニング

田中桃子
田中桃子

GK 田中桃子(大和シルフィード/初日)

ーーこのチームで集まるのはアジア予選以来約3カ月ぶりですが、練習の雰囲気はいかがですか?

アジアに行ったメンバーが多いこともあって、緊張もあまりないように見えます。

新しく入ってきたメンバーにアジア(予選)でどういうことがあったかを伝えて、全員がチーム状況を把握できるようにしたいと思います。年上が年下の選手たちを気にかけていると思うし、自分もそうしています。逆に年下の選手たちが遠慮している様子もなく、積極的に話しかけてくれているので、あまり心配していないです。

ーー夏のU-20女子W杯がコスタリカとパナマの共催に決まりましたが、どのような印象ですか?

アメリカは行ったことがありますが、中南米や赤道付近は未知の世界です。これまで行った中ではタイが一番暑い国でした。そこは、楽しみでもあり、心配な部分でもありますけど、キーパーのポジション的には暖かい方が良いのでありがたいです(笑)。

ーー大会にはアジアチャンピオンとして臨みますが、アジアで優勝したことでメンタリティの変化はありましたか? また、プレッシャーは感じますか。

アジアのナンバーワンという見られ方はするでしょうし、多少のプレッシャーはあると思います。(前回大会で優勝しているので)2連覇を目指すというよりは、アジアのナンバーワンとしてどれだけ戦えるかを意識したいですね。

ーー大会までの期間で、個人的に高めていきたい部分はどんなところですか?

アジア予選では失点にはつながらなかったですが、判断が良くない場面はありました。なでしこリーグ(2部)でプレーしてきた中では背後の対応で失点が多かったので、そこは課題としています。世界ではより速い相手と戦うので、判断はもっと難しくなると思いますから。リーグで簡単にやられているようでは世界と戦えないと思うので、そこが一番ですね。

ーー体づくりはどうですか?

去年、(1部の)ベレーザから(2部の)大和シルフィールドに(出場機会を求めて)移籍した中で自分自身でやらなければいけないことが増えたので、体を鍛える環境を自分で作って、自分に対しても今まで以上に厳しくできる人間にならなければいけないなと思っています。

長江伊吹
長江伊吹

DF 長江伊吹(INAC神戸レオネッサ/初日)

ーー合宿が始まって、どのようなことを感じていますか?

このチームはレベルが本当に高くて、練習が楽しいです。騒いでいてもやる時はしっかりやるというメリハリがはっきりしているし、毎日が成長するために大事なことだらけです。W杯のメンバーに選ばれることはもちろんですが、その中でも試合に出られるようにしたいです。キャンプは残り少ないので、一つひとつの練習に対して意欲的に取り組んでいきたいです。

ーーチーム(藤枝順心高校)ではセンターバック 、代表ではサイドバックでもプレーしていますが、両方のポジションで意識していることは何でしょうか。

守備では対人を得意としているので1対1でやられないことや、スピードを生かして、相手に裏を取られても追いつくことです。判断や技術の部分はまだまだ足りていないので、もっと成長したいですね。攻撃面では起点となる縦パスを得意としているので、どんどん出していきたいです。

ーー年代別代表で下の世代から選ばれてきましたが、U-20代表として世界で戦うことをどのようにイメージしていますか?

世界の基準も(U-17やU-19に比べて)すごく上がるし、チーム内でも競争がさらに激しくなると思います。いつも以上に意識を高く持って取り組まないと置いていかれるので、しっかり準備をしていきたいです。

ーー藤枝順心高校ではキャプテンを務めて、今年、INACにルーキーとして加入しますが、U-20代表ではどのような役割を意識していますか。

このチームではどちらかといえば、年下の方なので、準備や片付けなど積極的にやりたいです。先輩方からいろんなものを盗んで、下から這い上がってスタメンで出られるような選手になりたいなと思います。

菅野奏音
菅野奏音

MF 菅野奏音(かんの・おと/日テレ・ベレーザ/2日目)

ーークラブの練習が始まってまだ日が浅いですが、今のコンディションはいかがですか?

オフの自主練習期間も動いていたので、そんなに鈍っている感じはしないのですが、ボールを蹴る時の感覚はちょっとまだ戻っていないですね。次の活動までにはしっかり感覚を戻したいと思っています。

ーーU-19アジア予選で優勝したことでチームの雰囲気が変わったようにも感じますが、どうですか? 自信がついたようにも見えます。

アジア予選に行ったメンバーは個々の自信がついてきたと思いますね。あの時に選ばれていなかった選手も、一緒にW杯に向かっていけたらなと思っています。

ーー残り半年間で、チームでも個人でもどのようなところを積み上げていきたいですか。

アジアから世界を目指す中では、技術面もそうですが、特にアジリティやパワーが日本に足りていないところだと思うので、残り数カ月でしっかり積み重ねていきたいです。個人的に、ゲームをコントロールすることは今までも意識してきましたが、今年は得点やアシストを増やして、試合を決められる選手になりたいです。

ーー年上と年下の垣根をあまり感じさせないチームですね。

(垣根は)ないですね。オフもみんな仲が良いです。食事の時は楽しくやっていますし、学年問わずサッカーの話やいろいろな話をしますが、ピッチに入ったら目の色を変えて真剣に、サッカーを楽しむというところを忘れずにやっています。

三浦晴香
三浦晴香

MF 三浦晴香(日体大FIELDS横浜/2日目)

ーー昨年は浦和レッズレディースから日体大に加入して1シーズン目でしたが、どのようなシーズンでしたか?

去年は環境が変わって、周りに合わせるのが難しい部分もありましたが、仲間とたくさん話したり映像を見て、試合を重ねる中でどんどん合うようになって、成長できた部分があると思います。サイドで相手をかわすところはもちろんですが、かわした後のクロスの質も、シーズンを通して練習の中で質を上げていけたと思います。

ーーアジア予選はどうでしたか?

試合にあまり出られなかったのですが、みんな上手で、見ていても勉強になったし、出た時も自分のプレーを出せた手応えがありました。

ーー今季、リーグ戦ではどんな部分を成長させてU-20代表でのアピールにつなげたいですか?

ボールを持っていない時の動きとか、パスをした後の動きの質を上げていきたいですね。(U-20では)サイドで出た時はどんどん仕掛けて、ゴール前へのパスがしっかり出せるようにしたいです。

ーー具体的な目標はありますか。

なでしこリーグ2部でしっかり試合に出続けられるようにして、昨年は皇后杯で決めたPKの1点だけだったので、今年は流れの中でゴールを狙いたいですね。

武田菜々子
武田菜々子

FW 武田菜々子(マイナビベガルタ仙台レディース/3日目)

ーー昨シーズンは、武田選手にとってどのようなシーズンでしたか。

ベガルタでも(U-19)代表でも出場機会が少なく、せっかく出させてもらっても結果を出せなくてすごく悔しかったです。課題も多く見つかって、いろいろなことを考えさせられたシーズンでした。

ーー具体的に、どんな課題と向き合ってきたのですか?

たくさんあります。ボールを失わないこともそうですし、ボールを持ってもシュートまで行けない場面が多くて、積極性が足りなかったなと。自分の特徴でもある体格とスピードを生かせていなかったなと思います。いいタイミングでボールを受けたり、誰かが打ったシュートのこぼれ球に反応しやすいポジションを取れるように、練習や試合の中で高めていきたいです。

ーー今年はU-20女子W杯という目標がありますが、このチームでの役割をどのように考えていますか?

オンでもオフでも、いろんな選手と関わることがすごく大切だと思っています。結構喋るタイプなので、誰とでもコミュニケーションを取りたいですね。試合に出られるかどうかで気持ちの持ちようも変わってくると思いますが、チームが一つになるためにチームの雰囲気を押し上げていくことを考えて、自分が出ているときも出ていない時も、みんなを(下から)持ち上げられたらなと思います。沈んでいる時には一番に声を出したり、悩んでいる人がいたら、気づいて話しかけたいです。

ーー今シーズンの、クラブと代表での目標を教えてください。

まだどのポジションでプレーするかはっきりしていないのですが、同世代の(高橋)はながいろんなポジションで活躍できるので、刺激を受けています。そういう選手が近くにいるので、自分も、どこで出てもいいプレーができるように準備をしていきたいですね。

高橋はな
高橋はな

DF 高橋はな(浦和レッズレディース/3日目)

ーー3日間を終えて、合宿の手応えはいかがでしたか?

アジア(予選)の振り返りをしたり、自分たちがやろうとしていることをもう一回、この合宿で共有できています。(個人的には)シーズンが始まったばかりということもあってまだ100%の状態ではないですが、こうしてまたみんなとサッカーができて、W杯にむけていい積み上げが新たにできました。

ーー昨年はリーグ13節のベレーザ戦(○3-2)の決勝点や、アジア予選決勝の北朝鮮戦での決勝点など、勝利を引き寄せる重要なゴールが多かったですが、そういったことは自信につながりましたか?

そうですね。結果的に(アジア予選の)決勝や日テレ戦などの重要な試合で決められたことは、それまでやってきたことがそこで出せたということなので、「しっかりやってきてよかったな」と思いました。

どの試合や大会で結果が出せるかはわからないですが、続けること、積み上げることが大事なんだなと感じました。

ーー昨年は代表とクラブで複数ポジションでプレーしましたが、今年はどのように取り組んでいこうと考えていますか?

チームではディフェンスやFWをやらせてもらい、代表ではセンターバックが主なポジションですが、ポジションにこだわるというよりは、自分がやるポジションに対して、やるべきことをやっていこうという気持ちは変わらないですし、そうすることで自分自身もレベルアップできるのではないかと思います。

ーー高橋選手は(前回大会優勝も含めて)特に経験が豊富です。アジア予選前には、最年長の代として「上下関係を作らず、みんながいろんな意見を言い合っていけるチームにしていきたい」と話していましたが、その思いに変わりはないですか。

その(雰囲気づくりの)部分では変えたくないです。「先輩には話しづらい」という雰囲気は絶対に作りたくないですし、みんながチームのためにできることを考えて、いろんなことを伝え合えるチームでありたいし、仲の良さをいい意味でサッカーにつなげていきたいですね。

ーー個人的な目標を教えてください。

このチームでは、まずは大きな目標であるW杯優勝です。どの試合も無失点で終えたいですし。セットプレーのチャンスがあれば、チームではFWもやっているので、点も決めたいです。セットプレーではいいキッカーがいますし、前線に身長の高い選手もいるので、チームとしても磨きをかけたいですね。

GK陣も好セーブを見せていた(左から福田史織、近澤澪菜、田中桃子、大場朱羽/筆者撮影)
GK陣も好セーブを見せていた(左から福田史織、近澤澪菜、田中桃子、大場朱羽/筆者撮影)