リトルなでしこが2連勝でグループステージ突破!ノックアウトステージを占う第3戦・中国戦へ
インドネシアのバリ島で行われているU-17女子アジアカップ。リトルなでしこ(U-17日本女子代表)は、グループステージ第2戦でオーストラリアを4-1で撃破。タイに4-0で快勝した初戦に続く2連勝を飾り、1試合を残してノックアウトステージ進出を決めた。
初戦から中2日。南国特有の蒸し暑いコンディション下での連戦とあって、白井貞義監督は、朝生珠実、眞城美春、本多桃華の3名以外の先発8名を交代して臨んだ。
タイ戦の前半は初戦特有の硬さも見られたが、このオーストラリア戦では立ち上がりから日本の攻撃力が爆発。長身で大人顔負けのフィジカルを持つ“ジュニア・マチルダス”に対し、良い距離感でダイレクトパスを効果的に使いながら攻撃を展開した。
白井監督がタイ戦後に挙げた課題は、「試合のリズムのコントロール力」。ゴールを決めた榊愛花も「チームとしてはもっと余裕を持ってゴールまで行くシーンを作らなければいけない」と、大勝の中にも修正点を指摘していた。この試合では、その両面で明らかな改善が見られた。
フィニッシュまで持ち込むシーンが増えたのは、最前線で先発した佐藤ももサロワンウエキの存在が大きいだろう。佐藤は巧みな裏への抜け出しとポストプレーでボールを収めて相手の脅威になり、前半3分にゴールをこじ開けた。
同じ大商学園高校のセンターバック・太田美月からのロングボールを、ゴール前で胸トラップから完璧にコントロール。トラップだけで相手センターバックを外すと、左足を振り抜き、右隅に沈めた。このゴールが皮切りとなり、10分には左のスペースから菊地花奈のダイレクトクロスを佐藤がワンタッチで冷静に流し込み、2-0。
その後も、両サイドの菊地と根津里莉日が果敢に仕掛け、両サイドバックの牧口優花と青木夕菜も積極的に攻撃参加。ボランチの眞城が全体をコントロールしながら、外と中のレーンを効果的に使ってオーストラリアに的を絞らせない多彩な攻撃を展開した。
後半は白井監督が前線の選手を入れ替えながら、試合をコントロール。65分には眞城がロングボールに抜け出し、エリア内でうまくコントロールして2試合連続ゴール。
終盤の81分には、初先発となったボランチの平川陽菜がミドルシュートを決めて4-0。無失点で終わりたいところだったが、アディショナルタイムにエリア内でPKを与え、飛び級でU-20代表入りしているインディアナ・ドス・サントスに決められ今大会初失点を喫している。だが、終わってみれば内容の伴った快勝で、勝ち点3を積み上げた。
この試合で強烈なインパクトを残したのは、先制点を含む2ゴールを決めた佐藤だろう。身長は159cmと、大柄なわけではないが、ボールスキルが高く、あらゆる角度から枠を狙える技術を持っている。そのスキルについて、大会前にこう話していた。
「なでしこジャパンの選手やプロの映像を見て、イメージをやっぱり染み付かせています。(ボルシアMGの)福田師王選手は年代が近くて、特徴が似ている部分があるので、よく映像を見ています」
今大会の目標は大会得点王。得点だけでなく、「しんどい時に点を取ること、誰よりも走って、声でもチームを助けたい」と話し、ゴール後のゴールパフォーマンスを見ればわかるように、明るいキャラクターでチームを盛り上げている。初戦で2得点の活躍を見せた津田愛乃音、そして佐藤と、今後も試合ごとにヒロインが出てきそうな期待を抱かせる。
4点目を決めた平川は、浦和の下部組織に所属しており、ほぼ同時刻に行われていた女子ACLプレ大会でトップチームがアジアチャンピオンになったことを受け、こうコメントした。
「いつもチーム一丸となって勝利を目指す姿勢にとても刺激をもらいました。(次の)中国戦も勝ち切って、優勝を目指したいと思います」
第3戦の中国戦は、日本時間の5月13日17時キックオフ。中国は同じく2連勝でノックアウトステージ進出を決めており、グループ1位と2位を決める重要な試合となる。日本は引き分け以上(1位)の場合、準決勝で韓国と対戦。敗れた場合(2位)は、朝鮮民主主義人民共和国との対戦となる。
試合は日本時間の5月13日17時キックオフ。ダゾーンでライブ配信される。
*表記のない写真は筆者撮影