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ノート(257) 出所者の帰住先確保の重要性と「民間頼り」の施策が直面する問題点

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

受刑380/384日目(続)

帰住先の確保に向けて

 出所後の再犯を防ぐために、就業支援や福祉的支援と並んで特に重要となるのが、帰住先の確保だ。出所しても住むところがなければ、生活が安定せず、再び犯罪に手を染めることになる。

 帰りを待ち望んでいる家族がいたり、単身でも寮や住み込みの形で働ける仕事に就職できたり、協力雇用主がアパートなどを探して準備してくれていたりすれば、あとはうまく軌道に乗せるだけだ。

 問題は、これらが期待できそうにない受刑者、特に犯罪を繰り返すなどし、適当な身柄引受人がおらず、仮釈放のレールに乗らなかった満期出所者への対応である。現に、刑務所から地方更生保護委員会に対して仮釈放の申し出がなされなかった受刑者の6割強が住居調整の不良を理由としている上、満期釈放者の4割強の帰住先が「不明」となっている。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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