カメムシが付いていると嘘をつき、払うふりして女性の尻を触った男 その罪と罰
昨年7月11日と24日に大阪市のマンションの非常階段などでそれぞれ別の30代の女性の尻を触ったとされる男に対し、大阪地裁は4月23日、懲役2年4ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。カメムシが付いていると嘘をつき、払うふりをして指先で数回触ったという。
どのような罪になる?
男が問われた罪は、準強制わいせつ罪と不同意わいせつ罪だ。昨年7月13日に改正刑法が施行され、後者の罪が導入されたことから、7月24日の事件にはこれが適用された。一方、施行前の行為には遡って適用できないので、7月11日の事件のほうには当時の刑法の準強制わいせつ罪が適用されている。ただし、法定刑はいずれも懲役6ヶ月~10年で変わりはない。
この準強制わいせつ罪は、相手に暴行や脅迫を加えていなくても、何らかの手段で抗拒不能にさせていれば成立する。不同意わいせつ罪も、不意打ちによって同意しない意思を形成、表明、全うできない状態にさせるとか、行為がわいせつなものではないと誤信させていれば成立する。
わいせつ事件の典型的な手口
裁判では、女性がこうした状態にあったか否かが争点となった。裁判所は、突然、見知らぬ男からカメムシが付いていると声をかけられて驚愕した上、実際には付いていないのに親切心からこの虫を払ってくれると勘違いしたわけだから、抗拒不能の状態にあり、自由な意思決定に基づく真の同意もなかったと判断した。
このように、虫を手で払うことを口実にして尻や胸などを触る行為はわいせつ事件、それも特に小学生などの女児を狙った性犯罪の典型的な手口となっている。見知らぬ男から「服に虫が付いている」などと言われても気を許さず、絶対に身体には触らせないようにし、その場からすぐに立ち去るのが賢明だ。(了)