キャバ嬢と元キャバ嬢に「タイマン」させた経営者に実刑 問われた意外な罪とは #専門家のまとめ
先月15日、興味深い刑事裁判がありました。大阪・北新地にあるキャバクラで無断退職を巡ってキャバ嬢と元キャバ嬢がもめた際、「タイマンしたらええやんけ」と提案し、殴り合いをさせたとして、大阪地裁が経営者の男に懲役2年6ヶ月、罰金50万円の実刑判決を言い渡したのです。問われた罪は傷害罪だけでなく、1889年に制定された決闘罪でした。事件の経緯やこの罪について参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
▼事件前には元キャバ嬢の女友達が鼻の骨を折られており、この事件で今度はキャバ嬢が元キャバ嬢から顔などを殴られて負傷
・決闘容疑で逮捕「タイマンしたらええやんけ。場所を用意したるわ」キャバクラ店経営者の男(日刊スポーツ)
▼裁判所は、キャバ嬢や元キャバ嬢にとって経営者の男は逆らえる存在ではなく、決闘を主導した男の責任は重いと判断
・【速報】決闘罪で実刑判決 「タイマンしたらええやんけ」とキャバクラ従業員少女ら決闘させた罪に問われた男の裁判 決闘を主導したと認定(ABCニュース)
▼決闘罪は、犬養毅が決闘を拒絶したことで決闘の申込が続出したことから、西欧型の決闘の風習を防ぐために制定された
・決闘罪の話(参議院法制局)
▼1年間に検察が決闘罪で受理した被疑者は数人~60人と年度によってバラツキがあり、暴走族の抗争などがあれば増える
・4月13日は「決闘の日」…なので、決闘の歴史から現代でのあり方について考えてみた(東京新聞 TOKYO Web)
エキスパートの補足・見解
決闘を申し込んだり、応じたり、実際に決闘をしたり、場所を提供したり、立ち会ったりした者が処罰の対象です。決闘罪のほか、負傷者が出たら傷害罪、死者が出たら傷害致死罪や殺人罪にも問われます。
あまり知られておらず、昨年の月9ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』でロースクールの教官を演じた北川景子さんも、六法全書を読んだ際、「こんな法律もあるんだ」と驚いたとのことです。
明治時代の古い罰則でも、廃止されない限り有効です。例えば、1884年に当時の急進的な自由民権運動を制圧するために制定された爆発物取締罰則も、昨年4月に岸田文雄首相がパイプ爆弾で襲撃された事件に適用されています。(了)