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袴田事件、検察の特別抗告断念で再審無罪へ 注目される今後の検察の対応

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

 検察が最高裁への特別抗告を断念したことで、ようやく袴田事件の再審が始まる。検察は有罪立証を見送ることも検討している模様であり、これが実現すれば、早い段階で無罪判決が言い渡されることになるだろう。

「急転直下」の判断

 これまでの経過だが、3月13日に東京高裁が再審開始を認めると、特別抗告の期限が4日後に迫った16日夜には、メディア各社が一斉に「東京高検、特別抗告へ」などと報じた。高裁の証拠評価には判例などに違反する重大な誤りがあるから、最高裁の判断を仰ぐ必要があるという。

 最終的に特別抗告を断念した際、東京高検の次席検事が「承服し難い点があるものの、法の規定する特別抗告の申立事由があるとの判断に至らず、特別抗告しないこととした」というコメントを出しているところからも、16日までに行われた高検内での協議では、特別抗告の方針が固まり、メディアにもリークされたのだろう。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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