「頂き女子りりちゃん」 資産なしだと罰金や税金、賠償金の支払いどうなる? #専門家のまとめ
「頂き女子りりちゃん」と称し、複数の男性から総額1億5千万円をだまし取り、手口マニュアルを販売してほかの女性の詐欺を手助けした上で、4千万円の脱税に及んだとされる25歳の女に対し、名古屋地裁は懲役9年、罰金800万円の実刑判決を言い渡しました。逮捕時の所持金は数千円で、資産もないようです。もし有罪が確定したら、罰金や税金、賠償金の支払いはどうなるでしょうか。理解の参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
▼脱税した4千万円とそれに対する重加算税、延滞税を合わせると、3億円近い納税義務を負ったまま40歳近くで出所する可能性も
・「頂き女子りりちゃん」懲役10年前後か…出所後も「3億円」近い納税義務が残る可能性(DIAMOND online・戸田一法)
▼たとえ自己破産しても、滞納している罰金や税金、詐欺による損害賠償金の支払いを免れることはできない
・自己破産しても消滅しない非免責債権とは(イデア・パートナーズ法律事務所)
▼税金にも時効があるが、税務署は時効完成前に督促を行って時効の進行をリセットさせるので、納税義務から逃げ切ることはできない
・税金にも「時効」がある ならば「逃げ切れる」のか?(MONEYZM)
▼罰金を納付せず、強制執行すべき資産もなければ、「労役場留置」すなわち最長2年間、刑務所に留置されて作業が義務付けられる
エキスパートの補足・見解
詐欺罪には罰金刑がないので、一審判決の罰金800万円は脱税事件に対するものです。懲役刑と罰金刑はどちらを先に執行しても構いません。しかし、資産がなく、罰金の納付ができず、労役場留置やむなしという状況であれば、検察官は執行の順序に配慮します。
まずは懲役刑の執行を始め、途中で一旦停止させ、その間に労役場留置の執行を済ませ、罰金分を回収したあと、残りの懲役刑の執行を続けるというものです。すでに刑務所の工場で何らかの作業に従事していた場合、執行の前提となる刑が一時的に変わるだけで、工場の移動や作業の変更まではありません。(了)