「もしかして善意?」中国から家に"ギフト"マスク、うっかり開けたらどうする?

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 中国から注文していないマスクが国際郵便で送られてきたという不安の声が上がっている。請求書は同封されておらず、今のところ代金の請求もないという。どうすればよいか――。

これも「送りつけ商法」

 ネット通販で国内業者に注文しても、実情は輸入代行にすぎず、商品が中国から届くということも多い。しかし、まったく心当たりがなく、家族に確認してもだれも注文した覚えがなければ、「送りつけ商法」だ。

 マスクは需給バランスが崩れているので、普段は慎重な人でも詐欺に引っかかる確率が高い。ネット通販で注文したものの、なかなか届かない中でこうした国際郵便が届くと、注文した商品が来たと誤解する人もいるだろう。

 国際郵便が使われるのは、宅配便だと配達員から受け取る際に受け取りを拒否される可能性があるのに対し、ポストにダイレクトに投函されるからだ。マスクは重量が軽くてコンパクトだから、安価で発送できる。

 また、請求書が同封されていないのは、先ほどのように実際に注文した商品が遅れて届いたと誤解するとか、「遠方にいる家族が注文してくれた?」「もしかして善意?」といった思い込みを狙うためだ。

 受け取った側がつい使ってしまうように、わざわざ「ギフト」と記載しているケースもあるという。

 そのうえで、使い終わったタイミングを見計らい、あとで代金を請求する。驚くほど高いが、逆に高騰している市場価格に比べるとかなり安いというパターンもあり得る。支払いのハードルを下げることで、クレジットカードの情報を吸い取るためだ。

 すなわち、支払いはクレジットカード決済に限られるということで、指定されたホームページでカード番号や有効期限、氏名、カード裏の3桁のセキュリティコードなどの入力を求められる。

 これにより、このカードが悪用され、カード枠の限度いっぱいまで勝手に使われてしまうというわけだ。

開封しちゃったけど、どうすれば?

 国際郵便でも、開封前であれば、差出人に返還してもらうことができる。メモや付せんに「受取拒絶」などと書き、署名か押印をしてその郵便物に貼り付け、郵便ポストに投函するか、郵便窓口に持っていくだけでよい。

 では、「なにか頼んだっけ?」と思いつつ、うっかり開封してしまったところ、注文していないマスクだと気づいた場合だとどうか。

 そうなると、もはや郵便局を通じて差出人に返還してもらうという手は使えない。かといって、怪しげな業者とやり取りをするのはリスクが高いし、返送するのも手間がかかる。

 ここで特定商取引法という法律を使うことになる。国際郵便であっても、日本に届けられているものだから、この法律が適用される。

 重要なのは、この法律に「14日間ルール」が規定されていることだ。念には念を入れて、次のように対処しておけばよい。

(1) 送り状の送付者名や連絡先のほか、開封した状態の郵便物を何枚かスマホやデジカメで写真撮影

 写真データに日時が記録されるので、いつ届いたものかの証明になる

   ↓

(2) 最寄りの消費者生活センターや警察に電話で相談

 相談の記録が残るので、注文したものではないという証明になる

   ↓

(3) 到着から14日間、使わず、捨てず、そのままの状態で保管

 送りつけた側に連絡して引き取りを請求すれば7日間に短縮できるが、トラブルになるだけだから連絡しないほうがよい

   ↓

(4) 14日経過したら、その状態で何枚かスマホやデジカメで写真撮影

 写真データに日時が記録されるので、(1)から14日経過したという証明になる

   ↓

(5) 自由に処分してOK

 捨ててもいいし、使ってもいい

   ↓

(6) あとで請求がきても、完全に無視してOK

 ここでも消費者生活センターや警察に電話で相談しておくとベター

なぜ氏名や住所を知っているの?

 こうした「送りつけ商法」にあうと、なぜ中国の業者が自分の氏名や住所などを知っているのかと不安になることだろう。

 過去に海外の通販を使ったことはないだろうか。あるいは、国内のネット通販サイトやネットオークション、個人間売買仲介サイトなどを利用してなにかの商品の取引をしたものの、実はその出品者が中国の業者だったという場合もある。

 日本の個人情報保護法など眼中になく、情報管理がずさんな業者も多いから、そこから漏れたのかもしれない。ネット通販などを利用する際は、便利な半面、個人情報が流出するリスクもあるということを覚悟しておく必要がある。

 いずれにせよ、もし注文していないマスクが届いたら、あわてず落ち着き、「14日間ルール」に従って毅然と対処しておけば問題ない。(了)

(参考)

 拙稿「政府配布ではない謎のマスクが届いたときの正解は? 『送りつけ商法』の横行に注意

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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