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スピード違反の取り締まりに驚いて減速したら警察官の人形だった!法的問題は? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(提供:イメージマート)

兵庫県・丹波篠山市の国道沿いに設置された人形が話題となっています。アニマルオブジェ業者が制作したもので、一斗缶を上下に重ね、その後ろに制服を着た警察官らしき格好の人形が座り、パトカーそっくりに塗装された車まで置かれています。移動式オービスを使ったスピード違反の取り締まりだと勘違いし、驚いたドライバーが減速するなど、事故防止に役立っているといいます。法的問題を含め、参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

▼単なるコスプレの範疇を超え、本物の警察官と見間違うほど精巧であれば、軽犯罪法の官名詐称罪に問われる可能性も

弁護士コラム【相談事例41】警察官のコスプレは違法?~軽犯罪法違反について③~(弁護士法人菰田総合法律事務所那珂川OFFICE)

▼警察から事前に設置の許可を取っているとのことで、パトカーに似た車にも「POLICE」ではなく「PEACE」と書かれている

▼現場は長い直線道路でスピードの出しすぎによる事故が多く、通学路でもあるので、地元の交通安全に貢献するために設置したという

スピード出しすぎ、車の衝突事故が多かった直線道路 リアルな人形に「速度取り締まり!?」、警察官も驚きの裏側(まいどなニュース)

▼実は警察も一斗缶で制作した「ダミーオービス」を使い、横に本物の警察官が立ってスピード違反の取り締まりを装うことがある

道警「ダミーオービス」拡大へ 速度抑止安価で効果的(読売新聞オンライン)

エキスパートの補足・見解

今回のオブジェはかなりよくできていますが、近づいて見るとすぐに人形だと分かるし、公益目的も認められるということで、警察も容認しているのでしょう。一方、警察の「ダミーオービス」ですが、移動式オービスが高額で各警察署への十分な配置が追いつかないこともあり、苦肉の策として利用されています。

これを見たドライバーは驚き、減速するので、安上がりなのに事故防止に向けて一定の効果が出ているといいます。もちろん、「またダミーか」と思い込み、減速せずに走行したら、「残念でした。きょうは本物のオービスです」ということで検挙される展開もあり得るので、注意を要します。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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