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ノート(27) 誰がフロッピーディスクに時限爆弾を仕掛けたのか?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~逡巡編(12)

勾留4日目

「前田検事、認める」

 この日の中村孝検事による取調べは、午後3時すぎころから午後8時すぎころまでの間、夕食を挟んで約4時間ほど行われた。

 「昨日、朝日新聞だけが『前田検事、認める』という記事を書いたようですね。誰が漏らしたんですか。最高検は保秘(ほひ)が全くできていないじゃないですか」

 開口一番、僕は検事にそう詰め寄った。「保秘」とは「秘密保持」を意味する検察用語であり、特に関係者の供述内容や物証の存在、強制捜査の着手時期や処分見込みなどに関する情報を外部に漏らさないことを言う。

 取調べに先立つ弁護人との接見の中で、新聞記事のコピーを見せられるなどし、連日の報道内容を聞いていた。マスコミ各社は、僕が証拠改ざん事件による逮捕後の取調べの中で「故意ではなく過誤である」といった不合理な弁解をし、容疑を否認し続けているなどと連日大きく報道していた。しかし、実際にはそうした事実は一切なかった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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