Yahoo!ニュース

ラブライブ!「μ's」8年ぶりの単独ライブ TVアニメ放送10周年イベント実施

河嶌太郎ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)
「Special Talk Session」ライブパートの様子

 「ラブライブ!」シリーズの原点となったスクールアイドルグループ「μ’s(ミューズ)」。このμ'sのステージが、2月23日と24日に東京都江東区の東京ガーデンシアターで実施されました。

 公演名は「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」で、トークイベントのほか、ライブパートも実施されました。μ'sがライブをするのは、2020年1月以来約4年ぶり、単独の公演としては16年4月以来実に8年ぶりとなります。

伝説のアイドルグループμ’s

「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」ライブパートの様子。写真の楽曲は「No brand girls」
「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」ライブパートの様子。写真の楽曲は「No brand girls」

 2010年代半ばに社会現象を引き起こした『ラブライブ!』。TVアニメにおいて「アイドルもの」というジャンルを切り拓き、2013年の初代『ラブライブ!』の放送以来、10年以上にわたってシリーズ展開が続いています。

 その数はアニメ・ゲーム・舞台など24年3月現在で6作に及んでおり、特に版元の一つである旧サンライズこと、バンダイナムコフィルムワークスにおいては「ガンダム」シリーズと並ぶ軸となる作品にまで成長しています。

 作品の舞台を訪れる「聖地巡礼」においても影響力が大きい作品で、初代『ラブライブ!』では東京の秋葉原周辺が舞台となり、実在する施設にも多くのファンが訪れました。2作目以降も静岡県沼津市、北海道函館市、東京都江東区、渋谷区、金沢市、神戸市などが舞台となっています。

神田明神(東京都千代田区)の明神男坂。μ'sの練習場所として重要な舞台で、後のシリーズにも登場する。今でも多くのファンが「聖地巡礼」に訪れる(筆者撮影)
神田明神(東京都千代田区)の明神男坂。μ'sの練習場所として重要な舞台で、後のシリーズにも登場する。今でも多くのファンが「聖地巡礼」に訪れる(筆者撮影)

 このシリーズの元となった『ラブライブ!』に登場する9人のスクールアイドルグループ「μ’s」は現実の音楽グループとしても爆発的な人気を集め、15年12月のNHK紅白歌合戦にも出場しました。

 一方、紅白出場が決定し人気絶頂の最中の12月に活動休止を発表。16年3月31日と4月1日には東京ドームでファイナルライブを実施しました。このファイナルライブは東京ドームを満席にしただけでなく、定価9800円のチケットが20万円で取引されることもありました。また、全国の200館以上の映画館でライブビューイングも実施され、海外でもアジアを中心に10カ国で上映されました。μ'sはまさに伝説を作り上げたグループと言えます。

8年ぶりの単独ライブ

「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」ライブパートの様子。写真の楽曲はアンコールで披露された「ミはμ'sicのミ」
「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」ライブパートの様子。写真の楽曲はアンコールで披露された「ミはμ'sicのミ」

 その後、μ'sは音楽活動を休止し、μ'sのメンバーがメディアに露出することも減りました。これまで例外的にステージの上に立ったのが、20年1月にさいたま市のさいたまスーパーアリーナで実施した「ラブライブ!フェス」です。これはラブライブ!シリーズ9周年を記念したイベントで、μ'sにとっては約4年ぶりのライブとなりました。この時もチケットが高い値段で転売されるなど、色褪せない人気がありました。

 そしてさらに4年後の24年2月23日(金祝)と24日(土)には、「Special Talk Session」が実施されました。μ's単独のライブとして数えると、「ファイナルライブ」以来8年ぶりとなります。公演は23日の夜と24日の昼と夜の3回行われ、トークイベントだけでなくライブパートも披露されました。

2日目に出演した、星空凛役の飯田里穂、南ことり役の内田彩、高坂穂乃果役の新田恵海、園田海未役の三森すずこ、西木野真姫役のPile(左から)
2日目に出演した、星空凛役の飯田里穂、南ことり役の内田彩、高坂穂乃果役の新田恵海、園田海未役の三森すずこ、西木野真姫役のPile(左から)

 μ'sのメンバー9人全員は揃わなかったものの、2日目は高坂穂乃果役の新田恵海さん、南ことり役の内田彩さん、園田海未役の三森すずこさん、星空凛役の飯田里穂さん、西木野真姫役のPileさんの5人が集まりました。

 トークパートではTVアニメ放送当時を振り返る内容のほか、この10年間の時代の変遷について触れる場面もありました。当時はまだ一般的ではなかったスマートフォンや「推し」という言葉にまつわる話。「異世界転生」や「Vチューバー」などといった、この10年で隆盛したものに触れてキャストが演じる場面もあるなど、新鮮なμ'sのメンバーの姿もありました。

 イベントは公演名の通りトークパートが中心との見方もありましたが、ライブパートも1公演あたり8曲(メドレー含む)も披露され、いい意味でファンの期待を裏切る形ともなりました。

オーケストラコンサートも実施

3月30日(土)と31日(日)に開催される「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Orchestra Concert」のイベントキービジュアル
3月30日(土)と31日(日)に開催される「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Orchestra Concert」のイベントキービジュアル

 3月30日(土)と31日(日)には、横浜市のパシフィコ横浜国立大ホールでシリーズ初のオーケストラコンサート「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Orchestra Concert」も開催されます。『ラブライブ!』TVアニメ放送10周年記念プロジェクトの中心となるイベントで、チケットは完売しています。有料配信も予定しており、こちらは販売受け付け中です。

 オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団が演奏し、μ'sのメンバーによるゲスト歌唱も予定しています。歌唱予定曲数は「数曲」とのことですが、蓋を開けてみると「Special Talk Session」同様多くなることも考えられます。出演するメンバーの数もトークセッションから東條希役の楠田亜衣奈さんが増える形で9人中6人が登壇します。30日から31日にかけて、X(旧Twitter)をはじめとするSNSでは盛り上がることが予想されます。

「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」イベントキービジュアル
「TVアニメ放送10周年記念 LoveLive! Special Talk Session」イベントキービジュアル

(クレジットのない写真・画像は全てバンダイナムコフィルムワークス提供)

(C)2013 プロジェクトラブライブ!

ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)

1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「withnews」「AERA dot.」「週刊朝日」「ITmedia」「特選街Web」「乗りものニュース」「アニメ!アニメ!」などウェブ・雑誌で執筆。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。

河嶌太郎の最近の記事