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「鬼滅の刃」 「刀鍛冶の里編」テレビアニメ化決定も放送時期は? 注目点を考える

河村鳴紘サブカル専門ライター
アニメ「刀鍛冶の里編」の発表がされた「鬼滅の刃」の公式サイト

 テレビアニメ「鬼滅の刃 遊郭編」の最終回が13日、放送枠を45分に拡大して放送され、最後に続編「刀鍛冶の里編」のテレビアニメ化が発表されました。今後について気になるポイントを考えてみます。

 アニメ「鬼滅の刃」シリーズは、週刊少年ジャンプ(集英社)で2016~2020年に連載された吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作です。人を食う鬼を倒す「鬼殺隊」になった竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹を元に戻そうと奮闘します。

 なお2020年に公開されたアニメ映画は、興行収入が400億円を突破し、ジブリのアニメ映画「千と千尋の神隠し」の記録(316億円)を更新。テレビの情報番組でも取り上げられるなど、社会現象になりました。

 「刀鍛冶の里編」は、今回放送された「遊郭編」の続きです。「遊郭編」で強敵を討ち取るなど大活躍した炭治郎らが、新たな刀を求めて「刀鍛冶の里」を訪れる内容です。

◇「放送年」告知されず

 まずは、何と言っても放送時期のタイミングですね。

 アニメ化の発表は「制作決定」だけで済ませるパターンと、それよりも具体的に踏み込むパターンがあります。「遊郭編」のときは「2021年TVアニメ化決定」でした。今回は「放送年」の告知が消えました。

 アニメやドラマの放送開始時期は、1月、4月、7月、10月から放送するのが正攻法です。今回はアニメ映画「無限列車編」を9月に地上波で初めて放送し、その後、テレビアニメ用に再編集版した「無限列車編」に一部でオリジナルストーリー(第1話のみ)を加えてオンエア。12月から「遊郭編」を1クール(約3カ月)かけて放送する変則パターンでした。

 なお「遊郭編」は原作コミックスで3巻分相当で1クールでした。「刀鍛冶の里編」は、3巻分をオーバーするため、少し長めになります。またどこで区切って終わらせるかも気になります。

 そして放送時期の予想ですが、これまでの流れから考えると、極端に遅くはならないでしょう。個人的には年内であれば……と期待しています。もしくは、ニンテンドースイッチ用ソフト「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」の発売タイミングに合わせて、アニメも今夏放送!……という予想もあるかもしれませんが、スケジュールが大変そうです。いずれにせよ、最終回でテレビアニメ化を発表したことは、ファンの期待をつなぐためにも良い作戦ではないでしょうか。

◇放送時間 より早くなれば

 もう一つは、放送の時間帯です。シリーズものの番組を放送する場合、視聴者の視聴習慣を重視して、時間帯を動かさない考えがあります。ただ、この後すぐに放送するわけでもなさそうです。そして個人的に言えば、23時という時間で放送するのはビジネス的に考えると「もったいない」の一言に尽きます。

 「遊郭編」の場合、遊郭をテーマにしているだけに23時台の放送に決めたのは理解できます。遅い時間帯とはいえ、アニメが視聴率の問われる枠にしたのですから。しかし、もう少しでも時間が早ければと思うのも確かでした。リアルタイムの視聴率がアップし、10%以上であればヒット感が出るからです。

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 実際、「遊郭編」は23時台の放送としては、リアルタイムの視聴率が7~8%、録画再生して見るタイムシフト視聴率が12~13%でした。両方の数字を合わせた総合の視聴率では、人気ドラマに匹敵しました。しかし、非常に分かりづらいのも確かです。昨年9月に放送された「劇場版アニメ 無限列車編」(世帯のリアルタイム視聴率21.4%)のような、分かりやすいインパクトはありませんでした。

 「刀鍛冶の里編」は、舞台は遊郭ではありません。もちろん敵を刀で切る激しいシーンはありますが、シリーズ第1弾の「立志編」の再放送は19時に放送しています。「刀鍛冶の里編」の原作マンガから考えると、恋柱・甘露寺蜜璃のセクシーなシーンもあって気になりますが、まあ配慮はできるでしょう。

 アニメ「鬼滅の刃」は、アニメファン以外の老若男女にもその名が知られた、アニメ業界的にも極めて重要なコンテンツです。社会的な話題になれば、コンテンツや業界的にもさまざまな意味でプラスに働きます。ビジネスという意味では、2020年の予定から配信を延期したままのスマホゲーム「鬼滅の刃 血風剣戟ロワイアル」の動向も気になるところですね。

 いずれにしても、アニメ「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」は、少しでも多くの人の目に触れる時間帯に放送され、再度の社会現象化に期待したいところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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