PS4出荷数が過去最大の前年同期比200万台減、でも関係者は一安心? ソニー決算の中身

ソニー本社=著者撮影

 ソニーの2020年3月期第3四半期連結決算が発表されました。PS4の四半期ごとの出荷数が、前年同期比で過去最大の200万台のダウンとなる610万台でした。日本では期間・数量限定となる1万円の値下げをしており、安いPS4の価格は1万9980円でニンテンドースイッチライトと同じだったのです。しかし、世界で累計1億台を出荷して7年目を迎える“古参”のゲーム機で、普及がかなり進んだことを考えると仕方ないでしょう。3カ月前、同社の第2四半期決算の時にも触れましたが、急落の陰りはありました。

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 ただ前向きに言えば、その急落も予想の範囲内に収まっています。最大商戦期(2019年10~12月)に610万台を出荷して、9カ月間の出荷数は1200万台を超えたわけです。年間でも1400万台を狙える位置にいます(前年度の年間出荷数は1780万台)。あと3度の四半期で苦戦するわけですが、とにかく数字の影響が大きい年末商戦期は乗り切りました。来年度の年末商戦(第3四半期、20年10~12月)はPS5が出れば、その後は右肩上がりが見込めるだけに、関係者はどこかで一安心という感じではないでしょうか。

 基礎知識として、ピークは過ぎたPS4、発売4年目でピークを迎えているニンテンドースイッチについて、世界出荷数に対する日本の比率にも触れておきます。世界出荷数1億台超のPS4の地域別シェアの情報は非開示です。「ファミ通」によると、PS4の国内推計販売数は約882万台で、推測出荷数は900万台強でしょうから、日本のシェアは推定9%台となります。一方、スイッチの国内推計販売数は約1195万台(国内累計出荷数は約1242万台、世界出荷数は5248万台)となり、日本のシェアは約24%となります。比較すれば一目で分かりますが、PS4はイメージ以上に欧米向けのゲーム機なのですね。

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 決算に話を戻しましょう。ソニーグループの第3四半期連結決算(2019年4月1日~2019年12月31日、9カ月)の売上高は、前年同期比0.4%減の約6兆5111億円、本業のもうけを示す営業利益は同0.2%減の約8100億円でした。多くのメディアは、ソニーの通期決算予想の上方修正を記事のポイントにし、ゲームビジネスの減収減益は補足的にしていました。なぜ通期予想をメインにするかと言えば「ソニーの第3四半期は予想通り。ゲーム事業の低迷も想定内」ということです。メディアが記事にするのに困るパターンなのですね。

 そして、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の業績を指すゲーム事業「G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)」の四半期(19年10~12月の3カ月)は、以下の通りです。

※左の数字が19年3月期で右が20年3月期

売上高 7906億円→6321億円

営業利益 731億円→535億円

 決算資料で「G&NSの大幅減収」と説明されている通り、ゲーム事業は数字を大きくダウンしました。しかし、ゲーム事業のソニーグループに対する貢献度はここ数年でいえば大きく、今回のダウンもPS2やPS3の末期に繰り返された光景ではありますから、関係者や知る人ほど「こんなものか」となるのですね。

 そして、今回は想定以上にPS4の踏ん張りが数字から見て取れます。理由は、ゲームソフトの出荷数が意外に減ってないことです。ソフトの出荷数が前年同期減になったのは、今年度の第2四半期決算から……つまり3カ月前からです。ソフトの買い控えがあまり見られないところを見ると、PS5の発表時に「PS4のソフトが引き続き使える見通し(互換性あり)」と発言した効果はあったのでしょう。

<PS4用ソフトの四半期世界出荷数・単位は万本>

※数字は左から4~6月、7~9月、10~12月、1~3月

18年度 4060 7510 8720 5470

19年度 4290 6130 8110 ?

 なお、ソフトの出荷数で特に好調なものは、SIEから個別に発表されることがありますが、人気クリエーターの小島秀夫さんが手がけて話題になったゲーム「デス・ストランディング」は、単体でのソフトの出荷数は発表されていません。絶好調ならアピールするため発表されるのが普通ですから、それがないのは残念です。ゲームショウのイベントでは人が通路にあふれて邪魔になるほど圧倒的な人気を集め、かつゲーム自体も意欲的だったと思うのですが……。国内の推計販売数を見ると爆発的ヒットではなくとも奮闘しているし、小島さんの名前は海外で知られていますが、やはり完全新作を爆発的に売るのは大変ということです。そしてメーカーは、安定的に売れる版権ものや人気のシリーズものを作る流れになり、「新作はリスクが高い」と避けるゆえんです。巨大になったゲームビジネスの難しいところですね。