ソニー中間決算 ゲーム事業の陰り PS5発売までどう耐える?

ソニー本社(写真:アフロ)

 ソニーの2020年3月期の中間連結決算(2019年4~9月)が10月30日に発表されました。変わらず好調に見えるソニーのゲーム部門ですが、通期予想を下方修正しました。気になる陰りについて触れます。

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 以前にも取り上げましたが、ソニー・インタラクティブエンタテインメント自体の決算発表はありませんが、ソニーのゲーム部門「ゲーム&ネットワークサービス」の成績がその役割を果たしています。

【解説】ソニーのゲーム事業は任天堂の倍

 ソニーグループ全体の売上高は前年同期比2.1%減の4兆480億円で減収でしたが、本業のもうけを示す営業利益は同17.3%増の5099億円と絶好調です。そしてゲーム部門ですが、売上高は約9119億で営業利益も約1388億円ですから、数字だけ見れば立派です。ただ、ゲーム部門の前年同期(2018年4~9月)の売上高は約1兆222億円で、営業利益は約1741億円ですから、かなりの減収減益です。

 なぜかと言えば、為替のこともありますが、本質的にはPS4のゲーム機とソフトが売れなくなっていることです。第2四半期(19年7~9月)のPS4(ゲーム機)の出荷数は約280万台で、前年同期(18年7~9月)の約390万台から約3割減となります。もちろんPS4発売後の第2四半期としては、最も売れていません。ちなみに第1四半期(19年4~6月)は前年同期と同じ約320万台でした。ここまでPS4の数字の下落が緩やかだっただけに、今回の急落を「気にするな」という方が無理でしょう。

 確かにPS4のゲーム機は、累計出荷数が1億台を超えており、既にゲームファンにはある程度普及しています。それ以上の普及には、ゲーム機の値下げをするか、PS4だけで遊べる人気ゲームを定期的に発売できれば良いのですが、どちらも簡単な話ではありません。要するに、新型ゲーム機「PS5」が20年の年末商戦に発売予定ですが、そこまでの1年間をどう耐えるの?……ということです。ゲームファンは大目に見てくれますが、利益を求める株主はシビアに判断しますから、なかなか大変です。

 ゲーム部門の業績に危機感を持っているのは、今回の発表を受けて親会社のソニーが、ゲーム部門の通期予想売上高を2兆2000億円から2兆円、営業利益も2800億円から2400億円に下方修正したことからも明らかです。ソニーのゲーム部門はここ数年間、グループの業績を支えたエースでしたから、ゲーム部門の陰りに敏感になるでしょう。

 その「陰り」の見立てを覆すには、ゲームの最大商戦期である第3四半期(19年10~12月)が重要となります。今月、「メタルギア」シリーズを手掛けたことで知られる人気ゲームクリエーターの小島秀夫さんの新作「デス・ストランディング」が発売されます。シリーズものではない新規ゲームは売れづらい傾向にあるため、過大な期待は禁物ですが、ゲームショウのイベントでは熱狂的な人気となるなど前評判は高く、本音では少なくない期待がかかるでしょう。すぐに売れずともジリジリ売り伸ばして、看板ソフトになれば理想的な展開ですが……。

 ゲーム機の“世代交代”の時期は、数字作りの難しさがあります。これも巨大ビジネスの宿命ですね。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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