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ネットフリックスの背中が見えたか?ディズニープラス〜2,860万人の有料会員獲得〜

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:ロイター/アフロ)

KNNポール神田です。

□新しい動画配信サービス「ディズニー・プラス」の会員数は昨年10-12月(第1四半期)に2,650万人に上り、競争が激化する中で同社がネットフリックスに対抗できる可能性を示唆した。この数字はブルームバーグ・コンセンサスが予想した2,080万人を大きく上回った。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は(2020年2月)4日、会員数がその後2,860万人に増加したと明らかにした。

□アイガーCEOはディズニー・プラスとESPNプラス、フールーの3つのストリーミング・サービスを通じ、従来型テレビからオンデマンドによる視聴を重視する方向に経営のかじを切っている。だが、それに伴いコストは増加し、ディズニーの昨年10ー12月期利益は減少した。

出典:ディズニー・プラス」好発進、会員数2860万人に-市場予想上回る

出典:Bloombergの図表に筆者加筆
出典:Bloombergの図表に筆者加筆

Disney+が2020年11月12日にサービスをアメリカとカナダ、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドで開始してからすでに、2,860万人の有料会員を獲得していることに驚く。NETFLIXの世界有料会員数は1億6700万人(北米の有料会員6,770万人)。一方、Disney系列のストリーミングサービス、Hulu3,070万人、Disney+2,860万人、ESPN+760万人。合計すると、6,690万人とNETFLIXの40%にまで迫ることとなる。

2020年の11月から、たった2ヶ月で有料会員を2,650万人。その後の一ヶ月で2,860万人に増えている(一ヶ月あたり+210万人増、1日7万人増加)。しかし、NETFLIXの北米市場は米国とカナダをあわせて6,770万人なので、その差はわずか80万人。ほぼDisney連合では、北米のNETFLIX有料会員に追いついたと考えることができる。NETFLIXの北米での伸び悩みを考えると、1日7万人増のDisney+では、80万人のNETFLIXとの差は、北米市場では12日間で追い抜いていてもおかしくない…。

さらに、2020年3月29日からは世界人口第2位のインドでもDisney+が開始となる。2020年3月31日からは、イギリス、ドイツ、フランスがはじまる。しかし、日本では未定。日本では、DisneyDeluxeがあるからだ。さらにHuluも日本では日本テレビ放送系子会社HJホールディングスとして独自の動きがある。

■Disney帝国のポートフォリオ

https://www.thewaltdisneycompany.com/investor-relations/

Disneyの第一四半期決算(2019年10〜12月) に筆者追記 出典:Disney
Disneyの第一四半期決算(2019年10〜12月) に筆者追記 出典:Disney

第一四半期決算(2019年10〜12月) 3ヶ月の決算によると、四半期 売上は208億ドル 利益は40億ドル

208億ドルの事業別の内訳は…

メディアネットワークス(放送CATV) 73億ドル 対売上比率 35.0%

パークエキスペリエンス (テーマパーク)73億ドル 対売上比率 35.0%

スタジオエンターテインメント(映画)37億ドル 対売上比率 17.7%

ダイレクトトゥコンスーマー(Disney+他サブスクリプション)39億ドル 対売上比率 18.7%

連結売上調整 Eliminations ▲16億ドル

営業利益 40億ドルの事業別の内訳は…

メディアネットワークス(放送CATV) 16億ドル 対営業利益比率 40.0%

パークエキスペリエンス (テーマパーク)23億ドル 対営業利益比率 57.5%

スタジオエンターテインメント(映画)9億ドル 対営業利益比率 22.5%

ダイレクトトゥコンスーマー(Disney+他サブスクリプション)▲6億ドル 対営業利益比率 ▲15%

連結売上調整 Eliminations ▲2億ドル

ディズニーの売上は、放送CATV 35%とテーマパーク35%で ほぼ70%を占めている。映画部門の貢献は、17.7%であり、サブスクリプションのほうが18.7% と貢献度では映画部門を抜いた。しかし、営業利益でみるとパーク部門が57%、放送CATV部門が40%を占める。サブスクリプション部門は営業利益では15%の赤字部門である。先行投資の必要な部門だから

ディズニーは、「アナと雪の女王2」と「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」など、映画でかなり稼いでいるように一見見えるが、売上で17.7% 営業利益では22.5% とDisneyの1/5程度の貢献度しかないのが意外だ。しかし、それぞれが別メディアで別部門であるが、映画コンテンツのシナジーがどの部門にも深く関わっている。ある意味、ディズニーはコンテンツビジネスをさまざまなメディアにうまくポートフォリオしている企業体であり、赤字を生み出しながらも、NETFLIXの牙城にせまりつつあることがよくわかる。

■Disneyの第一四半期報告売上ポートフォリオ

Disney 1QFY2020ポートフォリオ 出典:筆者作成
Disney 1QFY2020ポートフォリオ 出典:筆者作成
前年同期比 Disney 1QFY2019ポートフォリオ 出典:筆者作成
前年同期比 Disney 1QFY2019ポートフォリオ 出典:筆者作成
Disney 1QFY2020 出典:Disney
Disney 1QFY2020 出典:Disney

2018年の前年同期比から、売上は、55億ドル 136%上がっているにもかかわらず、F固定費が10億ドル上がっているので、利益としては6億ドル▲23%の減益となっている。

https://www.thewaltdisneycompany.com/wp-content/uploads/2020/02/q1-fy20-earnings.pdf

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ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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