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【NHL】「61」も記録を樹立した”史上最高の選手”ウェイン・グレツキーは、「ウソつき」だった!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
18歳でNHLデビューを飾ったグレツキー(Courtesy:@PR_NHL)

 今月から新しいシーズンを迎えたNHLでは、FA(フリーエージェント)権を有する選手が、新たな契約を結んだニュースや、移籍した選手の話題が数多く見られます。

 

▼スタンレーカップがモスクワへ!

 その一方で、昨季のプレーオフを制したワシントン キャピタルズの優勝メンバー(選手、コーチ、スタッフ)には、「スタンレーカップ(NHLの優勝トロフィー)を(およそ)24時間独占できる!」という”特権”が与えられることから、世界各国にスタンレーカップが赴きます。

 ”スタンレーカップの世界旅行”は、ホームタウンのワシントンD.C.エリアからスタートしましたが、今週末にはキャプテンの アレックス・オベチキン(FW・32歳)が生まれ育ったモスクワ(ロシア)へ向かいます。

▼ルジニキ・スタジアムを一望できる絶景スポット

 オベチキンが選んだ場所は、「スパロウヒルズ(雀が丘)」。

 佳境に差し掛かった「サッカー・ワールドカップ」の決勝戦の会場となるルジニキ スタジアムや、モスクワの市街地まで見渡すことができる絶景スポットに設けられた「FIFA Fan Fest」で、明日の午後(現地時間)スタンレーカップを披露する予定です。

▼育ったチームに恩返し

 さらにオベチキンは、ディナモ モスクワのアイスホッケーチームにも、足を運ぶプランを口にしました

 「14歳の時に初めて見た」というスタンレーカップを間近にした際に興奮した経験を、自らが育ったチームで”未来のオベチキン”を目指して練習に励んでいる子供たちにも、体感させてあげたいとのこと。

 昨年のオフには、多額の負債を抱えていることが明らかになり、翌年のKHL参戦を危ぶむ声も聞かれたチームにとって、オベチキンの恩返しは、これ以上ないエールとなるでしょう。

▼オベチキンのコレクション

 このように、自分を育ててくれたジュニアチームへの恩返しも忘れないオベチキンですが、以前から彼がコレクションしている物があるのを、ご存知ですか?

 それは、「名選手のスティック」です!

 

アイスホッケーのスティック(プレーヤー用/Courtesy:@indec)
アイスホッケーのスティック(プレーヤー用/Courtesy:@indec)

 プレー中にパックを扱う際に用いるスティックは、プレーヤー(FW&DF)はもちろん、GKも試合中は手にし続けるアイスホッケー選手の必須アイテム。

 他のスポーツと同様に、各選手のこだわりや、スタープレーヤーであればオリジナルモデルが作られたりと、まさしく千差万別。

 それだけに、オベチキンは「スター選手たちが試合に使ったスティックを、コレクションしている」と言います。

▼小さい頃から憧れていたノーランからも

 これまでオベチキンは、オールスターゲームで ”予告ゴール” を決めてハットトリックを達成(下の動画)し、「大好きな選手だった」というオーウェン・ノーラン(FW・46歳/元サンノゼ シャークス キャプテン)をはじめ、、、

マリオ・ルミュー(52歳・現ピッツバーグ ペンギンズ チェアマン)や、

ジャローム・イギンラ(41歳/現カムループス ブレイザーズ フランチャイズオーナー )といった、自らと同じFWの名選手たち。

 さらには、マーティン・ブロデューア(46歳/現セントルイス ブルース アシスタントGM)や、ドミニク・ハシェク(53歳/長野オリンピック チェコ代表GK)ら、一時代を築いた名だたるGKのスティックも、コレクションしているそうです。

▼グレツキーのスティックが欲しい!

 そんなオベチキンが熱い視線を送るターゲットは、何と言っても、ウェイン・グレツキー!(現57歳・下の写真右/エドモントン オイラーズ フランチャイズオーナー)

2004年のドラフトで全体1位指名を受けたオベキチン(左)を祝うグレツキー(右/Courtesy:@YahooSportsNHL)
2004年のドラフトで全体1位指名を受けたオベキチン(左)を祝うグレツキー(右/Courtesy:@YahooSportsNHL)

 グレツキーは、エドモントン オイラーズの一員として、WHA(ワールドホッケー アソシーエーション=1978-79シーズンをもって解散)で1年間プレーしたあと、所属していたエドモントンが新たに加盟し、18歳の時にNHLデビューを飾りました。

 その後、38歳で引退するまでの20年間(ロックアウトによるシーズンキャンセルとなった年も含む)にわたって、、、

レギュラーシーズン「40」

プレーオフ「15」

オールスターゲーム「6」

と、公認されたものだけで「61」もの記録を樹立して、「ザ・グレートワン」と呼ばれた選手!

 グレツキーがつけ続けた背番号「99」は、所属した4つのチームだけでなく、全てのチームで永久欠番になっていることが示すとおり、NHL史上最高の選手なのです!!

▼グレツキーのスティックが届いたけれど・・・

 それだけに、オベチキンにとって、絶対スティックをコレクションしたい選手の一人。

 幸いも昨年のオールスターゲームの際に、オベキチンファミリーが、グレツキーと一緒に食事をする機会が訪れました。

 これが決め手となったのか、念願のグレツキーのスティックが届いた!

 と思ったものの、ぬか喜び・・・。 

 サインが入っていましたが、届いたのは未使用のニュースティックでした。

届いたのは未使用のニュースティック(Courtesy:@russianmachine)
届いたのは未使用のニュースティック(Courtesy:@russianmachine)

 そこで再度、グレツキーにリクエストをしてみると、、、

 「(NHLでチャンピオンになって)スタンレーカップに名前を刻むことができたら、プレゼントするよ」と約束しました。

▼約束を守るのか? それともウソつきなのか?

 筆者の当サイトで既報のとおり、オベチキンがコンスマイス トロフィー(プレーオフMVP)に選ばれるほどの活躍を披露して、ワシントンは初優勝を飾りました。

 しかし、優勝が決まったあとも、オベチキンの下にグレツキーのスティックが届いた知らせがないまま、1か月になります。

 グレツキーは、ちゃんと約束を守るのか?

 それとも、「ウソつき」だったのか?

 「NHL史上最高の選手」と呼ばれた男の真の姿は、どちらでしょう???

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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