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【NHL】新年度初日に動いた金額「851億円」! オンタリオのホッケー少年は27歳にして夢かなう!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ジョン・タバレスはトロントと7年契約(Courtesy:@LeafsMaz20)

 7月1日(現地時間)からアイスホッケーの新年度になったのを機に、NHLではFA(フリーエージェント)権を持つ選手と、所属チーム以外との交渉が解禁になり、多くの選手が新天地との契約を結びました。

▼アイランダーズのキャプテンがトロントへ

 FA解禁初日で最も大きな話題となったのは、ジョン・タバレス(FW・27歳/タイトル写真)

 2009年のドラフトで全体1位指名を受け、ニューヨーク アイランダーズと契約。

 ルーキーシーズンから主力選手として活躍し、キャプテンにも就任。オリンピックやワールドカップのカナダ代表にも選ばれ、 ”アイランダーズの顔” と呼ばれてきた選手は、FA権を行使してトロント メイプルリーフスを新天地に選びました。

 

▼27歳にして夢かなう!

 「もちろんアイランダーズへの愛着も強かった」

 タバレスは、このような本音を口にしましたが、それでもトロントへの移籍を決断したのは、「小さい頃から憧れていたチーム」だからです。

 タバレスはトロント近郊のミシサガ(カナダ・オンタリオ州)の出身。それだけに、少年時代から「ずっとリーフス(トロント)を応援してきた」と言います。

 その証拠に、子供の頃はトロントのチームロゴが入ったベッドで、憧れのチームでプレーする姿を夢見ていたとのこと。

 

 この想いに応えてトロントも、7年総額7700万USドル(およそ85億1000円)の大型契約を提示して合意。

 タバレス少年の夢は、27歳にしてかなったのです。

▼玉突き移籍で古巣へ復帰

 一方、タバレスの加入で移籍を強いられたのが、ジェイムス・バン・リムズダイク(FW・29歳)

 年齢も近い上、同じFWなのに加え、スティックハンド(野球の右打ちと左打ちに相当)が、タバレスと同じレフトハンドのバン・リムズダイクは、昨季終了をもってトロントとの契約が満了。

 トロントはタバレスの獲得に舵を切ったことから、サラリーキャップとの兼ね合いもあり、昨季のチーム得点王のバン・リムズダイクとの再契約を断念。

 契約更新とならなかったバン・リムズダイクは、フィラデルフィア フライヤーズから、5年総額3500万USドルの提示を受けて、7季ぶりにNHLデビューを飾った古巣のチームへ復帰!

 バン・リムズダイクの復帰の知らせを聞いたファンも大歓迎の様子。

 ”玉突き移籍”で古巣へ復帰することになった「JVR」(バン・リムズダイクのニックネーム)の活躍が期待されます。

▼新GMへの冴えない評価

 イースタン カンファレンスのチームから、視線をウエスタンのチームに転じると、興味深いのはミネソタ ワイルドの動き。

 昨季まで6季続けてプレーオフに勝ち進みながら、ここ3季はカンファレンス クォーターファイナル(1stラウンド)で敗れている現状を変えるべく、新たに ポール・フェントン(58歳) をGMに招へいしました。

 32歳で現役を退いたフェントンは、その後、チームマネージメント職に転じ、2006年からはナッシュビル プレデターズのアシスタントGMを歴任。

 その手腕を買われて、5月にミネソタのGMに抜擢されたフェントンにとって、初めてのオフシーズンとなりますが、熱心なファンの間からは冴えない評価の声が聞かれます・・・。

▼頼りはヘッドコーチのコネクション!?

 地元メディアによれば、フェントンが長く在籍していたナッシュビルは、近年こそ「攻撃型チームへの変貌」を掲げ、積極的な補強策に打って出ているものの、4季前までは補強の予算も決して潤沢とは言えない中で、仕事をしてきただけに、「大きなトレードを画策してきたキャリアがない」とのシビアな指摘も。

 それが定かか否かは分かりませんが、ブルース・ブードロー ヘッドコーチ がワシントン キャピタルズを率いていた頃に在籍していたマット・ヘンドリクス(FW・37歳/前ウィニペグ ジェッツ)や、エリック・フェア(FW・32歳/前サンノゼ シャークス)といった選手しか補強できなかったのではないか? と手腕を疑う声も上がっている模様です。

 とはいえ、両選手ともに、FWながらペナルティキリング(反則退場者が出てプレーできる自チームの選手が少ない状況)などでのディフェンス力や、シュートアウト(サッカーのPK戦に相当)での決定力が光るだけに、フェントンGMの眼力の確かさを証明するような、新天地での働きが求められます。

▼FA初日に動いた金額は851億円!

 FA初日に契約を結んだ選手たちのサラリーを合計すると、およそ「7億7000万USドル(およそ85億1000万円)」

 この金額は、年々アップしています。

 

 各チームのGMたちの目利きは確かだったのか? その答えは来年のオフに明らかになりますが、果たしてどんな評価が下されるでしょう?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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