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【KHL】ロシアの名門・ディナモモスクワに多額の負債! 来季のKHL参戦に黄信号!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ディナモ モスクワ・アイスホッケーチーム出身のアレックス・オベチキン(写真:ロイター/アフロ)

旧ソビエト時代から、ロシアの「国技」と呼ばれるアイスホッケーに加え、サッカーやバスケットボールなどのチームも含めた総合スポーツクラブとして、多くのトップアスリートを輩出してきたディナモ モスクワ

「あまり海外スポーツに詳しくない」という方の中でも、「名前だけは耳にしたことがある」人が多いのではないでしょうか?

▼オベチキンが育ったチーム

1946年に創設し、「名門」と呼ばれ続ける ディナモ モスクワ で育ったアスリートの中で、屈指の人気と知名度を誇る現役選手の代表格が、アレックス・オベチキン(ワシントン キャピタルズ=タイトル写真)

オベチキンは、17歳の時に「U20(20歳以下)世界選手権」代表に選ばれるなど、抜きん出た存在で、NHLに活躍の場を移してからも、ハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)に3度。モーリスリチャード トロフィー(得点王)に6度も輝いています。

▼金メダリストや元日本リーガーも

オベチキンに限らず、ディナモ モスクワでプレーした選手は、オリンピック、カナダカップ(=ワールドカップの前身)、世界選手権で全て金メダルを手にしたワレリ・ワシリエフ。日本のファンの方に馴染みのあるところでは、王子製紙(当時のチーム名)に在籍したセルゲイ・バウチン

さらに、先週末(現地時間)行われた「NHLドラフト」で、ただ一人、ロシア生まれで1巡目指名されたクリム・コスティン(セントルイス ブルース)など、ディナモ モスクワ育ちの名選手は、枚挙に暇(いとま)がありません。

▼名門チームが苦境に直面!

ところが、名門チームは苦境に直面している模様です。

現地のメディアなどによると、ディナモ モスクワは、3300万USドル(およそ37億円)を上回る多額の負債を抱えており、「チームが解散するかもしれない?」との声さえ、ささやかれているとのこと。

このような事態に陥ってしまった要因の一つに、総合スポーツクラブであることから、絶大な人気を誇る “名門アイスホッケーチーム” だけが、スポンサー収入を独り占めできず、クラブ全体への収入になってしまうことが挙げられています。

▼来季の参戦に黄信号 !?

近年も常に優勝争いを繰り広げ「KHLの三強」に数えられているディナモ モスクワのアイスホッケーチームも、選手たちへの給与の未払いが生じ、その総額は1200万USドル(およそ13億4000万円)を上回るほど。給与の支払いが3か月も滞ったままの選手も少なくないそうです。

そのためディナモ モスクワの選手たちは、他チームへの移籍を希望。

KHLのドミトリー・チェルニシェンコ会長は、「この話が事実か否かは、現段階では立証できない」と話しながらも事情を顧みて、ディナモ モスクワの選手に対し、他チームとの交渉を認めるFA権を与えるか否かを話し合う会議を、来月4日に開催する意向を表明。

これに伴いKHLは、8月21日に開幕する(予定)来季の日程発表を延期しました。

▼名門チーム存続へのジレンマ

ロシアのメディアによると、「伝統あるチームなので、このまま我々のリーグに残って欲しい」との KHL の思いは強い様子。それだけに、ディナモ モスクワの選手と他チームとの交渉を解禁し、多くの選手が流出し兼ねない状況を避けたいのが本音のようです。

しかしながら、現状のディナモ モスクワには、KHLが定めた規約違反とみなすべき事項が複数発覚。

同様の理由で、クロアチアから唯一参戦していたザグレブと、ロシア中部をフランチャイズとしていたメタルーグノヴォクズネツクの2チームを、今季限りで KHL から脱退させたばかり。

それだけに、ディナモ モスクワ だけを例外扱いするのに難色を示す声もあり、来季の参戦に黄色信号が・・・。

KHLで2回。前身のロシアスーパーリーグでも「2回」

さらに、かつてのソビエトリーグでは、3連覇を含む「5回」もチャンピオンに輝いた名門チームは、これからも輝き続けることができるのでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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