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【NHL】開幕から20試合勝利なし… 勝点!得点!失点!全て最低のアリゾナコヨーテスファンの願いは?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アリゾナコヨーテス(Courtesy:@CompleteHkyNews)

 創設101年目を迎えた今季のNHLは、先月4日にレギュラーシーズンが開幕してから1か月あまりが過ぎ、各チームの明暗が分かれてきました。

▼開幕から20試合勝利なし…

 イースタンでは、タンパベイライトニング。ウエスタンでは、セントルイスブルースが、それぞれトップに立ち、好スタートを切った一方で、「開幕から20試合続けてレギュレーションタイム(正規の試合時間=第3ピリオドまで)での勝利がゼロ」というNHLワースト記録を作ってしまったチームがあります。

 そのチームとは、アリゾナコヨーテスです。

▼26歳で就任した最年少GMの決断は…

 昨年5月に26歳の若さで就任し「北米メジャースポーツチームの史上最年少GM」となったジョン・チャイカは、今季へ向けて大きな動きを見せました。

 長年にわたってキャプテンを務めてきたシェーン・ドーンとの契約更新を行わなかったのに加え、同じく守護神を担い続けたマイク・スミスを、カルガリーフレイムスへトレード

 さらに、2009年からチームを率いていたデイブ・ティッペットとの契約も更新せず、新たなヘッドコーチに、V2を達成したピッツバーグペンギンズでアシスタントコーチを務めていたリック・トケット(53歳)を招き入れたのです。

▼得点は最低、失点は最多…

 ところが、最年少GMの決断は、ここまで全て裏目に…。

 アリゾナは、1試合あたりの平均得点(2.25/1位のタンパベイは3.89)と、平均失点(3.90/1位のサンノゼは2.25)と、いずれもリーグワースト(現地時間昨日の試合開始前時点)。

 ドーンやスミスらの人気選手を放出した上に、この成績とあって、ホームゲームを行っている17125人収容のヒラリバーアリーナのスタンドは、今季も閑古鳥が鳴いています(平均13761人=シーズンチケットも含めた売り上げ数。実際に観戦に訪れているのは、さらに少ない)。

▼唯一の明るい話題は…

 このような状況とあって、今季も明るい話題が見られない中で、唯一の(と言ってもいい)明るい話題は、アフィリエイトのマイナーチームが好調なこと!

 NHLの一つ下のリーグに相当するAHLで、アリゾナのアフィリエイトチームとなっているのが、ツーソンロードランナーズです。

 アリゾナは、一昨季まで東海岸のマサチューセッツ州を拠点としていたスプリングフィールド ファルコンズを、アフィリエイトチームにしていましたが、運営権を買い取って同じアリゾナ州のツーソンに移転。

 選手の入れ替えもスムーズに行える上、フェニックス近郊のグレンデールで行われているアリゾナの試合にも、観戦に訪れてもらいたい考えによるものです。

▼有力な若手選手が揃う!

 昨季まで5年続けてプレーオフに進めずにいるアリゾナは、プレーオフを視野に入れ戦力アップを目ろむチームに主力選手を出す見返りとして、ドラフト指名権を得ることが多かったため、有力な若手選手が揃っています。

ドラフト1巡名指名された選手が揃うツーソンロードランナーズ(Courtesy:@RoadrunnersAHL)
ドラフト1巡名指名された選手が揃うツーソンロードランナーズ(Courtesy:@RoadrunnersAHL)

左:ニック・マークリー(2005年1巡目全体30位指名・FW20歳)

中:ダイラン・ストローム(2005年1巡目全体3位指名・FW20歳)

右:ローソン・クラウス(2005年フロリダパンサーズ1巡目全体11位指名)

▼ファンの願いは?

 このような有力な若手選手の活躍もあって、ツーソンはAHL全30チーム中、トップの成績で首位を快走中!

 兄貴分のアリゾナが低迷しているのを尻目に、開幕から全試合で勝点(ポイント)をマーク。

 1試合の平均得点が3.7。平均失点は2.4と安定しているように、ツーソンのチーム力の高さが伝わってきます。

 このようなデータを見ると、勝点、得点、失点と全て最低のアリゾナの選手を、「ツーソンの選手と総入れ替えして!!」と願う声が、いずれファンから聞こえきてしまうかも???

 アリゾナが巻き返して、そんな声を封印することはできるでしょうか。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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