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【平昌オリンピック】前哨戦でNHL選手不在のカナダとアメリカが完敗! ロシアは不参加に!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
フィランドに敗れたカナダ(Courtesy : @hockeynight)

 地元韓国での気運が高まらず、チケット販売も低調だと伝えられている中、「ピョンチャン(平昌)オリンピック」の開幕まで3か月を切りました。

 男子、女子ともに各国のナショナルチームは、国際アイスホッケー連盟が定めるナショナルブレイク(代表チームの活動奨励期間)となった先週末は、各地で催された国際大会に参戦しました。

▼オリンピックV3を狙うカナダは完敗

 男子のアイスホッケーでは、2010年のバンクーバー大会、2014年のソチ大会に続き、オリンピック3連覇を狙う世界ランキング1位のカナダが、フィンランドに乗り込んで「カルヤラカップ」に参戦。

 6か国(ロシア・世界ランキング2位、スウェーデン・同3位、フィンランド・同4位、チェコ・同6位、スイス・同7位)が参加したトーナメントで、4位に終わりました。

 4位と言ってもカナダが手にした白星は1つだけ(全3試合)。しかも、世界ランキングで下回るスイス戦での勝利だけだった上、スウェーデン戦では、今季からKHLのクンルンレッドスターの守護神を担っている マグナス・ヘルバーグ(26歳)に、35本のシュートを全てセーブされ完封負け・・・。

 得点差以上の完敗を喫した試合も見られ、元日本リーグプレーヤーのウィリー(ウィルバート)・デジャーデン(60歳)ヘッドコーチの悩みは尽きないかもしれません。

▼ライバルのアメリカも完敗

 一方、バンクーバー大会の決勝では、カナダに競り負けて銀メダルに終わった悔しさを晴らしたいアメリカも、ライバルに負けじと「ドイツカップ」に参戦しました。

 アメリカ(世界ランキング5位)の他に、3か国(ロシアドイツ・同8位、スロバキア・同11位)が参加しましたが、前述の「カルヤラカップ」と異なる代表メンバーで戦ったロシア(B代表)が3戦全勝の成績で優勝。

 対照的にアメリカは3戦全敗で最下位。しかも3試合の総得点は「8点」だけ。パワープレー(相手チームの選手の反則によって数的優位になる状況)での得点率も、わずか9%に終わり、オフェンス面で大きな課題が残りました。

▼NHL選手不在の影響は大!?

 4月4日に配信したピョンチャンオリンピックへの現役選手出場を認めず!コミッショナーが最終決断!!で紹介したとおり、カナダ、アメリカともに、現役NHL選手を代表メンバーに選ぶことができない影響が、既に現れているのは明らか。

 穴埋め役として、現在は北米のマイナーチームやヨーロッパのチームでプレーしている元NHL選手や、今季は契約を結べずにいる選手を招くプランを軸に検討している模様ですが、大きなプラスは見込めません。

 そのため、以前からパワフルなプレースタイルが代名詞になっていたアメリカも、スキル重視の選手選考へ変更する大改革を進めているように、「NHL選手不在の影響は大」と言えるでしょう。

▼KHL選手も不在に!?

 さらに加えて、ロシアのドーピング問題へのIPC(国際パラリンピック委員会)の対応への不満から、KHLも現役選手の出場を認めない意向を表明。タス通信が報じたように、ロシアの主力が在籍しているKHLの選手は全て不参加の可能性が浮上してきました。

 冬季オリンピックでは必ず最後の金メダルを懸けて、男子アイスホッケーの決勝戦が行われてきましたが、ピョンチャンオリンピックに関しては、“色褪せた決勝戦”になってしまいそうな懸念が、現実味を帯び始めてきた様子。

 韓国国内の関心度も低迷しているのに加え、チケットの販売も低調だと報じられているピョンチャンオリンピック。

 (世界的に見れば)絶大な注目度を誇る男子アイスホッケーが、このような状況だけに、アイスホッケーの決勝のみならず、“色褪せた平昌オリンピック”になってしまわなければ良いのですが・・・。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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