「敷地内全面禁煙」か「特定屋外喫煙場所」設置か、それが問題だ

写真撮影筆者

 2019年7月1日からの改正健康増進法の一部施行では、学校、病院、行政機関といったいわゆる第一種施設の屋内・敷地内が禁煙となる。第一種施設でも、条件を満たせば屋外の敷地内に特定屋外喫煙場所を設置できるが、7月1日から各施設できちんと対応できるかどうか不透明な部分も残る。あなたの街の役所は大丈夫だろうか。

行政が「お手本」になる

 改正健康増進法の理念は、受動喫煙を防止することだ。学校や病院はもちろんだが、タバコを吸わない人も含めた不特定多数が訪れる県庁や市区町村役所といった第一種施設の屋内・敷地内が禁煙になることで、まず7月1日からこうした施設での受動喫煙を防ぐ。

 実は、改正健康増進法はすでに2019年1月24日から一部が施行されている。それは、受動喫煙を防止するための「配慮義務」だ。その内容は以下の通りとなる。

・喫煙をする者は、喫煙をする際は望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない(第25条3第1項)。

・多数の者が利用する施設を管理する者は、喫煙場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならない(第25条の3第2項)。

 つまり、タバコを吸う人は周囲に人がいない場所で喫煙し、受動喫煙の害が他者、特に子どもや病人におよばないように配慮しなければならない。そして、施設の管理者は喫煙場所を設置する場合、人が多く集まったり通ったりする場所に設置しないよう、また受動喫煙の害が生じないように配慮しなければならないというわけだ。これは屋内屋外を問わず、第一種施設以外でも適用される。

 7月1日から第一種施設において敷地内の禁煙が施行されるが、改正健康増進法の全面施行は東京オリパラが開かれる年、2020年4月1日からだ。つまり、今回の第一種施設の施行は、行政が民間に「お手本」を示すために前倒しで実施されるという意味合いがある。県や市区町村などの行政が改正法を拡大解釈したりネジ曲げたりすれば、全面施行が行われた後、飲食店などに注意勧告できないだろう。

各自治体の判断が評価される

 そもそも1月24日からの一部施行では、国および地方公共団体は、受動喫煙が生じないよう、受動喫煙に関する知識の普及や受動喫煙防止に関する啓発活動の協力などに努めなければならないことになっている(第25条)。7月1日から第一種施設で改正健康増進法を実施することに不備が起きれば、二重の意味で改正法の理念を踏みにじることになるというわけだ。

 ところで、第一種施設でも受動喫煙の防止のための必要な措置がとられた敷地内の屋外に喫煙場所を設置することができる。これが特定屋外喫煙場所だが、その条件は以下の通りだ(第28条13)。

・喫煙場所が、非喫煙場所と明確に区別するよう区画されていること。

・喫煙場所であることがわかるような標識を掲示すること。

・第一種施設を利用する者が通常、立ち入らない場所に設置すること。

 改正健康増進法では、さらに特定屋外喫煙場所を近隣の建物に隣接するような場所に設置しないよう求めている。そして、第一種施設は敷地内禁煙が原則であり、特定屋外喫煙場所の設置を推奨しているわけではないと但し書きを加えている。ちなみに、人事院も同様に特定屋外喫煙場所の設置を推奨しない旨、通知を出している。

 ところで、この場合の「屋外」というのは、外気の流入が妨げられ、屋根がなく側壁が半分以下のもの、つまり屋根があって側壁が半分以上なら屋内となる。また、敷地内に駐車した車の中での喫煙も規制の対象だ。

 一方、厚生労働省の改正健康増進法に関するQ&Aでは、設置場所について各管理権限者の判断にまかせ、特定屋外喫煙場所の形式や形状に関しての制限はなく、灰皿の設置を義務づけているわけではないとしている。つまり、特定屋外喫煙場所については、考えようによってかなり裁量に幅が出ることになる。

 さすがに学校や病院で7月1日以降、改正法違反をする施設は少ないだろうが、各地の自治体で起きた6月中のドタバタをみると市区町村の役所で混乱が生じる危険性がある。

 特に、特定屋外喫煙場所の設置に関しては管理権限者の恣意にまかせている側面もあり、各首長や行政・自治体の判断が評価され、受動喫煙を防ぐという改正健康増進法の理念への理解度が示され、職員や住民の健康をどう考えているかが試されることになるだろう。