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トランプ陣営、「不正投票」をするよう働きかけか! 米紙報道 米大統領選

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
会見で、根拠を示すことなく「不正投票が行われている」と訴えたトランプ氏。(写真:ロイター/アフロ)

 激戦州では「不正な票の集計が行れた」と何の根拠もない主張をし、「集計をやめろ」と訴えたトランプ氏。

 その後も、連日のようにツイートして「不正」を訴え続けている。

「たくさんの票が、違法にも、投票日の火曜午後8時以降に届いており、票はペンシルベニア州や激戦州の選挙結果を完全に簡単に変える」

「これは盗まれた選挙だ」

 ペンシルベニア州のように、州の中には投票日11月3日の消印までに返送された票を有効としているところもあるのだが、トランプ氏の頭の中にはただ「不正投票」ということしかない。

 しかし、トランプ陣営は、その「不正投票」をするよう、ペンシルベニア州の支持者に働きかける作戦に出ていたようだ。

 米国時間11月6日付米紙ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルの報道によると、ウィスコンシン州のトランプ陣営が、11月5日、ペンシルベニア州のトランプ支持者たちに不在者投票を返送するようプッシュするためのボランティアを募集していたのである。

 しかし、投票日の11月3日より後に不在者投票を返送するのは違法だ。トランプ氏が批判している「不正投票」にあたる。

 ペンシルベニア州は、11月3日までの消印で返信された票は11月6日までに到着すれば有効と取り決めているが、11月4日、11月5日の消印がある票は無効としているからだ。

 しかし、それでも、ウィスコンシン州のトランプ陣営はトランプ氏が同州で劣勢である状況を懸念したのかもしれない。同紙は、トランプ陣営は、ペンシルベニア州では集計が遅れることに乗じて、投票日後でも不在者投票を滑り込ませることができると考えたのではないかと指摘している。

 ウィスコンシン州のトランプ陣営のこの動きについて、カリフォルニア大学アーヴァイン校ロースクールのリチャード・ハセン教授は同紙で「不正投票をするよう教唆しているようだ。馬鹿げている」と話している。

不在者投票を追跡か

 具体的には、どんなことが行れたのか?

 同紙が入手した電話音声によると、ウィスコンシン州の“トランプ・ビクトリー”(トランプ陣営と共和党国民委員会がトランプ再選のために設立した委員会)の副ディレクターが、11月5日、同州のトランプ陣営のスタッフらと電話会議を開き、不在者投票をまだ返送していないペンシルベニア州のトランプ支持者をボランティアに追跡させ、不在者投票を返送するように働きかけようと話し合ったという。

「今日、そして、彼ら(ペンシルベニア州)が集計が終わったと決定するまでの間、ペンシルベニア州の不在者投票を追跡しよう」

 この電話会議後、5日の午後5時過ぎ、“ケノーシャ・フォー・トランプ”というグループが「ボランティア急募」というタイトルのメールを拡散した。

 メールには「“トランプ・ビクトリー”が、ペンシルベニア州のトランプ支持者に不在者投票を返送するよう電話するボランティアを至急必要としている。電話はトランプ氏が選挙で勝利するのを助けることになる」と記されていた(下記)。

ペンシルベニア州のトランプ支持者に、不在者投票を返送するよう働きかけるボランティアを急募していると伝えているメール。出典:Milwaukee Journal Sentinel
ペンシルベニア州のトランプ支持者に、不在者投票を返送するよう働きかけるボランティアを急募していると伝えているメール。出典:Milwaukee Journal Sentinel

 ウィスコンシン州の多くの共和党スタッフが、ペンシルベニア州のトランプ支持者に電話をするボランティアをリクルートする作戦に関与し、ボランティアたちが渡されたスクリプトには、同州のトランプ支持者に不在者投票を返送したかどうかと聞き、返送していなければ、投票日の後でも返送するよう勧める内容が記されていたというのだ。

集計プロセスの欠陥を証明する作戦?

 投票日後の消印で送られてきた不在者投票でも、あわよくば、集計される可能性があると思ったのだろうか?

 また、法律関係者はこんな見方もしている。集計されるべきではない投票日後の消印の不在者投票がもし集計されれば、それは集計プロセスに欠陥があるということになる。集計に欠陥があることを証明することにより、トランプ陣営は、11月3日までの消印があり11月6日までに届いた合法な不在者投票を含め、すべての不在者投票を無効にするよう裁判所に嘆願する作戦ではないかという見方だ。

 いずれにしても、ウィスコンシン州のトランプ陣営が行ったと報じられた「不正投票」を働きかける動きは、トランプ氏の主張と矛盾する。

 トランプ氏は、11月3日までの消印で郵送された票は11月6日までに到着すれば集計されるというペンシルベニア州の取り決めは「たくさんの不正が起きる可能性がある。不正はたやすく起きる」と言って批判していたからだ。

 トランプ氏は「不正投票が行われた」と訴える前に、まずは、自らの陣営の動きに不正がなかったかをチェックするところから始める必要があるのではないか。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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