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日本初!ゼロ・ウェイストなスーパー、食品ロスゼロの斗々屋が3店舗目オープン(2023年10月19日)

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
東京・代官山駅前のCIRTY BIOSK by Totoya(筆者撮影)

日本初の量り売りスーパーで、ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)のスーパー、斗々屋(ととや)(1)。

2023年10月19日、斗々屋の3店舗めとなる新店舗が、東京都の代官山駅前にオープンした。

代官山駅すぐにオープンしたCIRTY BIOSK by Totoya(筆者撮影)
代官山駅すぐにオープンしたCIRTY BIOSK by Totoya(筆者撮影)

新しい店の名前は「CIRTY BIOSK by Totoya」。オーガニックを意味するBIOと、小売店を表すキオスクの造語で「BIOSK」とした(2)。CIRTY(サーティー)は、東急東横線の代官山駅前に建設されたForestgate Daikanyama(3)のTENOHA棟にあり、サーキュラーコミュニティ活動を推進している。

店名の由来である「キオスク」から想起される通り、店内は非常に小さい。数人が入ればもう一杯だ。

CIRTY BIOSK by Totoya、店内の様子。カウンター(左)、メニュー(真ん中下)、何度も使える容器(右上)、瓶詰めされた食料品やスパイス、調味料など(右下)(筆者撮影)
CIRTY BIOSK by Totoya、店内の様子。カウンター(左)、メニュー(真ん中下)、何度も使える容器(右上)、瓶詰めされた食料品やスパイス、調味料など(右下)(筆者撮影)

2021年7月31日にオープンした2店舗目の京都本店(4)は、販売面積50坪。店内には700〜800品目が取り揃っている。今回の店は、京都店に比べると、品数は限られる。

とはいえ、今回も、最新鋭の量り売りシステムが導入されているのは京都本店と変わらない。1925年に商業用バネ秤を開発した「はかりのパイオニア」、創業98年の株式会社寺岡精工が、シリアルの量り売りができるシステムや、野菜・果物の量り売り、リターナブル容器の管理が可能なPOSレジを提供している(5)。

店内に入ると、ところ狭しと食料品の瓶詰めが並んでいる。これらはすべてデポジット制なので、空になった容器を持ってくれば、瓶代は返金してくれる。買い物に来たとき、自分で容器を持参すれば、それに入れ替えることも可能だ。

瓶詰めされた食料品やスパイス、調味料など(筆者撮影)
瓶詰めされた食料品やスパイス、調味料など(筆者撮影)

斗々屋は、有償・無償問わず、使い捨ての容器は提供していない。そこで、店内にはスタッシャーなど、使い回しできる容器が販売されている。

駅から歩いてきて店の入り口を入って左手。何度でも使うことのできる容器が並んでいる(筆者撮影)
駅から歩いてきて店の入り口を入って左手。何度でも使うことのできる容器が並んでいる(筆者撮影)

カウンターの下には、ナムルやキムチなど、瓶詰めされた惣菜が販売されている。カウンターではソフトドリンクやグラスワインを注文することもできる。ワインの量り売りもある。

カウンターではドリンクや惣菜のほか、ビスコッティやスコーン、グラノーラ、ワインなどの量り売りを頼むこともできる(筆者撮影)
カウンターではドリンクや惣菜のほか、ビスコッティやスコーン、グラノーラ、ワインなどの量り売りを頼むこともできる(筆者撮影)

野菜や果物は、店の外に販売棚が置かれている。通りすがりの人は興味津々で見ていく。時節柄、ハロウィンのかぼちゃも売られていたので、10分近く、どれを買おうか悩んでいる女性の二人連れもいた。外国籍の3人連れは、仲間同士で量り売りのメリットについて語り合い、3人のうちの1人の男性は玉ねぎを購入していった。

店の外にある野菜や果物の棚(筆者撮影)
店の外にある野菜や果物の棚(筆者撮影)

店の外観からは何の店かわからないが、野菜や果物の販売棚が店の外に置いてあり、そこを訪問客や散歩する人が通ることで、関心を惹きつける「フック」になっている。ちょっとしたファーマーズマーケットみたいな感じともいえるだろうか。

筆者は、野菜の棚に1つだけ残っていた大きな梨を選んだ。また、自宅から持参した容器「スタッシャー」に、スパイス入りのグラノーラとビスコッティを入れてもらった。持参した空き瓶には柿の種を。そしてグラスワインを注文し、飲みながら、買い物客を眺めていた。梨は「さんさんファーム」で採れた南水で1個421円。柿の種は179円、古代小麦を使ったビスコッティは100g567円、スパイスグラノーラは1,006円、グラスワインは1杯800円、しめて3,158円。

今回買ったもの。左上から時計回りに梨、柿の種、グラスワイン、ビスコッティ、スパイスグラノーラ(筆者撮影)
今回買ったもの。左上から時計回りに梨、柿の種、グラスワイン、ビスコッティ、スパイスグラノーラ(筆者撮影)

店で購入した飲食物は、外のベンチで味わうこともできるし、CIRTYの屋内スペースで飲食することもできる。

CIRTYのカフェスペース(筆者撮影)
CIRTYのカフェスペース(筆者撮影)

通行する人を1時間ほど観察してみたところ、代官山という土地柄か、あるいはこのCIRTYが目指す「サステイナブル」というコンセプトに惹かれたからか、エコバッグを持っている人が多かった。また、思った以上に、野菜や果物の一個売り、量り売りに関心を示す人も目についた。サッと見てすぐ立ち去る人もいるが、長い人は5分以上10分近く滞在して眺めていた。

買い物する人たち(筆者撮影)
買い物する人たち(筆者撮影)

斗々屋の1店舗目は東京・国分寺にある。2店舗目は京都、3店舗目がここ東京・代官山だ。斗々屋は、自社の売り上げだけを目指しているわけではない。買い物や消費するだけでごみが山のように出る、そのようなライフスタイルや、日本の小売業界全体を変えたいと考えているのだ。

今回、出店した代官山のCIRTY BIOSK by Totoyaは、店舗面積こそ小さいが、着実に、これまでの購買行動や消費行動を変えていくきっかけになると感じた。斗々屋のこれからの動きにも注目していきたい。

「CIRTY BIOSK by Totoya」店舗概要(斗々屋プレスリリースより)

所在地 :〒150-0034 東京都渋谷区代官山町20-12 フォレストゲート代官山 TENOHA棟

営業時間:7:00-19:00 ※今後は夜の営業も行う予定

定休日 :不定休(月1回)

参考情報

1)株式会社斗々屋 公式サイト

2)株式会社斗々屋プレスリリース

3)Forestgate Daikanyama

4)日本初!ごみも食品ロスも出さない京都のスーパー「斗々屋」その工夫と最新鋭の量り売りシステムとは?(井出留美、2021/8/24)

5)TERAOKAの最新テクノロジーがストレスフリーなセルフ量り売りをサポート 10/19(木)フォレストゲート代官山の「CIRTY BIOSK by Totoya」で稼働開始

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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