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環境省が食品ロス削減事業の公募をスタート 地方公共団体対象 2020年10月16日まで

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
農林水産省主催食品ロス削減セミナー会場の掲示(株式会社office3.11撮影)

環境省が、地方公共団体(都道府県や市区町村)を対象に、食品ロスの削減や食品リサイクルを推進するモデル事業、調査事業などの募集を始めた。締め切りは2020年10月16日17時。

募集する部門は3つに分かれている。

1つめが、食品ロス削減・食品リサイクル推進モデル事業の一般部門。

2つめが、同じモデル事業の学校給食部門。

3つめが、食品リサイクル事業の実現可能性を調査する事業。

筆者は3Rのうち、最優先のReduce(ロスを出さない、廃棄物を発生させない)を強調しているので、まずは1つめを紹介したい。

「モデル事業」といわれても抽象的でよくわからないが、環境省の募集告知では、具体的なテーマ例を下記のように挙げている。

<具体的なテーマ例>

・ショッピングモール等における効率的な食品循環資源等の回収・収集に向けた検討・実証

・地域内の飲食店におけるドギーバッグの試験的な導入

・小学生向け食品ロスダイアリー調査の実施、情報発信・啓発事業

・ナッジを活用した消費者行動変容による食品ロス削減のため検討・検証

・新型コロナウィルス感染症対策により定着した「新しい生活様式」における食品ロス対策の効果検証・実証

出典:令和2年度 地方公共団体による食品ロス削減・食品リサイクル推進モデル事業等の公募について

「ナッジ」は、英語で「ひじでこづく」といった意味だ。禁止や命令をするのではなく、気づかせて、人の行動を変化させるような手法を指す。

2020年に開催予定だったオリンピック・パラリンピックでは、選手村のビュフェの食品ロスをなくすためにナッジの手法が使われる予定だった。ビュフェでは食べ残しが出やすい。そこで、「食べ残さないでください!」と書くのではなく、「何度でも取りにきてください」と書くことで、「ああ、一度にたくさん取らなくていいんだな」と安心し、適量をとるような行動を促すことになる。

「一度にたくさん取り分けずに何度でも取りにきてください」と書いたPOP(2020年1月27日に開催された農林水産省主催食品ロス削減セミナーで(株式会社office 3.11撮影)
「一度にたくさん取り分けずに何度でも取りにきてください」と書いたPOP(2020年1月27日に開催された農林水産省主催食品ロス削減セミナーで(株式会社office 3.11撮影)

2つめが、学校給食部門。

これまでも、環境省は、学校給食の食品ロスを減らすためのモデル事業を、地方公共団体を対象に公募してきた。

筆者も、2019年、2018年、2017年に発表された学校給食食品ロス削減事例を聴かせていただいた。

消費者庁の「賞味期限愛称コンテスト」は2020年9月11日が締め切り

消費者庁が募集している、賞味期限の愛称・通称コンテストは、本日9月11日が締め切りだ。

「「賞味期限」の愛称・通称コンテスト」及び「私の食品ロス削減スローガン and フォトコンテスト」募集開始について

賞味期限が原因で、多くの食品ロスが生まれている。たくさんのアイディアが届くように。

参考資料

令和2年度 地方公共団体による食品ロス削減・食品リサイクル推進モデル事業等の公募について(環境省、2020年9月7日)

ロンドン五輪は2443t廃棄、食品ロスと闘う東京五輪 日本は「責任、安全、真夏」どう対策

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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