冷蔵庫は「とりあえず入れておけばいつまでも持つ魔法の箱ではない」を示す写真 じゃあどうすればいいの?

冷蔵庫の野菜室にそのまま入れた青梗菜(左)と保存袋に入れたもの(右)(筆者撮影)

買い物に行って、買って来た食料品を、とりあえず、冷蔵庫に入れておく。日常、よくやる行為だ。

日持ちする加工食品ならいいが、野菜などの生鮮食品は、冷蔵庫で保存している間にも、日々、変化していく。

市販の野菜保存袋、3社の製品を1ヶ月使って比較してみた

2018年11月から12月にかけて、1ヶ月間、市販されている野菜保存袋3種類に青梗菜(チンゲンサイ)を入れ、冷蔵庫の野菜室で保蔵してみた。

野菜保存袋ってどのくらい持つの?3社3種類の袋に1ヶ月間チンゲンサイ(青梗菜)を保存して比較してみた

3社とも、違ったやり方で、野菜の保存性を高める工夫がなされていた。

野菜保存袋の有り・無しで1ヶ月間比較してみた

今回は、野菜保存袋を使った場合と使わない場合とでどう違うか、2018年12月10日から2019年1月9日にかけての1ヶ月間、青梗菜(チンゲンサイ)を冷蔵庫の野菜室(5~6℃)で保蔵し、比較してみた。

下の写真の、左が、野菜保存袋を使わないで保蔵したもの。右が、ジッパー付きの野菜保存袋を使って保蔵したものだ。

左が市販の野菜保存袋を使わなかったもの、右が使ったもの(筆者撮影)
左が市販の野菜保存袋を使わなかったもの、右が使ったもの(筆者撮影)

野菜保存袋を使わなかったものは、かろうじて根元に水分が残っているが、葉の数枚は乾き切って、干からびている。

野菜保存袋を使わなかったもの(筆者撮影)
野菜保存袋を使わなかったもの(筆者撮影)

野菜保存袋を使ったものは、取り出しただけで水分が手に付き、水分量が保たれていることが目で見て感じられる。

野菜保存袋を使ったもの(筆者撮影)
野菜保存袋を使ったもの(筆者撮影)

大手家電メーカー各社「野菜を7日間長持ちできる」をうたった冷蔵庫を発売

大手家電メーカー各社も、野菜の日持ちを延ばすことに着目した冷蔵庫を発売している。

たとえば日立の冷蔵庫の新鮮スリープ野菜室は、野菜から放出されるエチレンガスやにおいの成分を分解し、炭酸ガス濃度を高め、野菜の気孔(きこう)が閉じて呼吸活動を低下させ、眠らせるように(スリープ)保存し、栄養素の減少を抑えるという(日立の冷蔵庫総合カタログ 2018年冬版より引用)。

パナソニックは「7days シャキシャキ野菜室」と名付け、適切な湿度が保たれるようにして野菜の保存性を高める、としている(公式サイトより)。これも保存期間は7日間だ。

パナソニックの冷蔵庫の「7days シャキシャキ野菜室」の特長(パナソニック公式サイトより)
パナソニックの冷蔵庫の「7days シャキシャキ野菜室」の特長(パナソニック公式サイトより)

今日明日、すぐに冷蔵庫は買い替えられない・・・

最新の冷蔵庫の機能は魅力的だ。が、たいていの家では、冷蔵庫を毎年買い替える、ということはないだろう。10年選手といった感じではないだろうか。

冷蔵庫は今のまま、となれば、安価に、手っ取り早く、野菜の保存性を高められる一つの方法が、市販の野菜保存袋だろう。

もちろん、野菜保存袋を使うのが必須ではない。新聞紙も活用できる。新聞紙に水を含ませ、それでくるむ、などでもいい。青じそなどは、キッチンペーパーに水を含ませ、それでつつんでおくのもいい。

三井化学東セロの野菜保存袋「スパッシュ」(筆者撮影)
三井化学東セロの野菜保存袋「スパッシュ」(筆者撮影)

冷蔵庫に頼り過ぎて家の中で食品ロスを発生させてはいないか

お笑い芸人でゴミ清掃員のマシンガンズ滝沢秀一さんを取材した際、冷蔵庫を持っていない、後輩のお笑い芸人の話をされていた。彼は、保存の工夫をしていて、食べ物を無駄にしていないと言う。

冷蔵庫を手放した一人が、元朝日新聞記者の稲垣えみ子さんだ。ご著書でその経験を語っている。連載記事稲垣えみ子「冷蔵庫を手放して広がった『おいしいの定義』」や、【稲垣えみ子さん インタビュー】 会社も冷蔵庫も捨ててみた ~50歳、幸せの取り戻し方~ 中編などでも、冷蔵庫を手放して得られた効用を語っている。

もっと前にさかのぼると、食文化研究家の魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)さんは、2007年に上梓した著書『冷蔵庫で食品を腐らす日本人 日本の食文化激変の50年史』(朝日新書)で、

詰め込みすぎて食品をミイラ化させる現代人

日々巨大化する冷凍冷蔵庫を見ておると、まるでトランクルームに見えてくるのです。年に1回くらいしか使わぬもの、もう使うこともないもの、そもそも必要でないもの、それらを溜め込み、置き場所がないからと、トランクルームを借りて詰め込んでゆく。まさに今日の冷凍冷蔵庫はトランクルーム化しておるのです。

出典:魚柄仁之助著『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』(朝日新書)

と苦言を呈している。

1970年代後半に冷蔵庫が各家庭に普及して以来、冷蔵庫に頼り過ぎて、保存するための冷蔵庫で食べ物を腐らせている。皮肉だ。

消費者の中には「食品ロス?企業が悪い」と思い込んでいる人がいるが、年間646万トンの食品ロスのうち、およそ45%にあたる289万トンは家庭から出ているのだ。その大半を占めるのが野菜類。家庭で野菜を上手に保存させて使い切ることで、日本の食品ロスの一部は減らせることになる。

提言:野菜は食べきれる分だけ買い、市販の野菜保存袋を活用しよう

法人向けには、株式会社エバートロンのような会社が飛躍的に保存性を高めた「フレッシュトロン」などの製品を開発してきている。

だが、我々一般人は、今あるもので、限られたお金で買った食べ物を無駄にしないようにしていく必要がある。

そのために、野菜の保存に関して、できることは2つ。

1つは、野菜は、食べきれる分だけ買うこと。その人、その家庭に合わせた買い物パターン、消費行動がある。1週間ごとに買い物に行く人なら、その単位で使いきれる分だけ買うこと。キャベツ丸ごと1個が多過ぎるなら、2分の1、4分の1を買って使い切る。

もう1つは、野菜の保存袋や古新聞などを上手に活用し、日持ちを長くして最後まで使いきること。

家庭から出る食品ロスの中で、圧倒的に多いのが「野菜」だ。2019年は、野菜のロスをなくすよう心がけてみたい。

生姜は水に浸けておき、時々、水を入れ替えるだけで持つ

青菜ではないが、たとえば、生姜も、買ってきてそのまま冷蔵庫に入れておくと干からびてしまう代表格だ。

生姜は、密閉容器に水を入れて浸けておき、時々、水を入れ替えると日持ちする。お豆腐方式だ。お豆腐も、買って来てから使うまでに数日保存する場合は、毎日、水を替えてあげると日持ちする。

生姜は、密閉容器に水を入れてそこに浸けておき、水を入れ替えながら保存する(筆者撮影)
生姜は、密閉容器に水を入れてそこに浸けておき、水を入れ替えながら保存する(筆者撮影)

ちなみに前述の魚柄さんの本は、実話を描いた「あとがき」もいい。食べるとはこういうことなんだ、と、食への感謝、食べる姿勢を見直させられる。

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