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能登半島地震で断水。水を確保する方法、健康を保つ方法

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
画像制作:Yahoo! JAPAN 原案:橋本淳司

能登半島地震で断水が続いています。石川県は2日午後9時半時点で、能登地域を中心に県内12市町の少なくとも9万5千戸で断水が発生していると発表しました。水道インフラの破損のほか、停電の影響で浄水場や送水ポンプが動かないケースも発生しています。

ここでは水を確保しながら、少量の水で健康を保つ工夫をまとめます。

水確保の基本は水道局の給水

まず、水道局のHPなどで給水に関する情報を確認しましょう。給水時にはポリタンクを利用するのがよいでしょう。容量10リットルのタイプを両手にもつと運びやすい。キャリーバッグに入れて運ぶこともできます。非常時なのでポリタンクがない場合は、2リットルのペットボトルなど、フタの閉まる容器であればよいでしょう。こちらもキャリーバッグに入れると便利です。


給水したら、タグやセロテープなどを容器に貼り付け、いつ給水したものか、マジックペンなどで書いておきます。暗く涼しい場所におけば3日間は飲用できます。ただし、直接口につけると雑菌が混入するので注意してください。

ペットボトル入りの水は賞味期限に注意

市販のペットボトル入りの水の「買い置き」をしている人は、賞味期限に注意してください。賞味期限は、味の期限ではなく、表示された容量が確保できる期限です。ペットボトルには微細な穴があいており、少しずつ水が減るため、表示された量が確保できません。そのための賞味期限ですから、たとえ期限が過ぎていても、五感で確かめたり、念のため煮沸すれば使用できます。

雨水を生活用水(飲用ではない)に活用する

雨を活用しましょう。降り始めの雨は空気中や屋根の汚れを含みますが、30分程度降り続いた雨の水質は比較的きれいです。雨樋からバケツに入れたり、直接タライやポリバケツなどで雨水を集め、トイレを流す、洗濯、体をふく、食器を洗う水などに使いましょう。

駐輪場の屋根に降った雨を集める装置(筆者撮影)
駐輪場の屋根に降った雨を集める装置(筆者撮影)

飲み水は定期的に補給する

私たちは1日に2リットル程度の水を飲み、健康を維持しています。飲み水をきちんと確保し、定期的に飲みましょう。復旧作業をはじめた人もいますが、開始前には必ず水を飲み、ストレッチを行いましょう。その後も30分ごとにアラームをならし、水分補給や塩分補給を行います。体調が悪い人は弱音をはきましょう。周囲の体調の悪い人のサインを見逃さないようにしましょう。

なるべく水を使わずに衛生を保つ工夫

私たちは1日1人250リットル程度の水を使いますが、そのほとんどを衛生のために使っています。水を使わずに清潔な状態を保つために、ウェットタオル、お尻ふき、歯みがきシート、ドライシャンプーなどの製品を使用します。


衛生を保つには、手洗いが基本ですが、以下のやり方なら少量の水でできます。

1)爪をきる

2)指の間やシワについた泥を落とす

3)ジョーロなどで水をかける

4)石けんで入念に手を洗う

5)ジョーロなどで水をかけてすすぐ

口の中のケアも大切です。

1)歯ブラシで歯や歯間をきれいに

2)歯ブラシの汚れはティッシュで拭き取る

3)少量の水で2、3回うがい

4)歯ブラシがない場合は、清潔なタオルで歯垢を拭き取り、うがい

末筆ながらみなさまのご健康と、一刻も早い復旧をお祈りします。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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